阪神ドラ1戦略急展開 高校生野手より即戦力先発投手 東洋大・上茶谷ら候補
阪神が今秋ドラフトで即戦力投手を1位指名する可能性が浮上していることが27日、分かった。今季、チームの現状を見れば先発投手の駒不足は否めず、メッセンジャー以外にエースと呼べる存在は皆無。期待された藤浪に復活の兆しも見えないことから、重要補強ポイントだった高校生野手から東洋大・上茶谷大河投手(21)、梅津晃大投手(21)、甲斐野央投手(21)らを候補に、プロ志望届提出なら金足農・吉田輝星投手(17)も加えて調査を進めていく方針だ。
虎のドラフト戦略が大きく転換しようとしている。将来を見据え、地元大阪桐蔭の藤原、根尾、報徳学園・小園ら高校生野手の1位指名を検討してきたが、先発型の即戦力投手を最重要補強ポイントに置く可能性が浮上。球団幹部は「明らかに先発投手の数が足りていない」と明かす。
確かにチームに目を向けると、先発投手の枚数が不足している。26日の巨人戦ではソフトバンクからトレードで獲得した飯田を先発マウンドに上げたほど。復活を期待された藤浪の先行きは不透明で、他の候補も決定打に欠ける状況。小野、才木ら若手が頭角を現してローテ入りしているが、入団3年目以下の投手で来季の先発ローテ入りを確実視できる投手は見当たらない。
またエースと呼べる投手も現状、37歳のメッセンジャーだけ。次代の先発ローテを担っていける逸材の獲得が急務な状況と言える。
同幹部が「3年連続で野手を1位で行っていることもありますし」と語るように、金本監督が就任した15年のドラフトから3年連続で野手を1位入札してきた。それも投手陣が充実している間に、野手を入れ替えるという戦略があったからだ。
現状、若手野手は伸び悩みもあるが、25歳前後の選手が一定のレベルで各ポジションに顔をそろえる。その現有メンバーを育成していくというチーム作りの骨格はできつつある。冷静な視点から現有戦力を分析すると、次代のエース候補が重要な補強ポイントになることは明白だ。
候補となるのは大学日本代表入りした東洋大・上茶谷、日体大・松本ら。東洋大には他に梅津、甲斐野といった直球に魅力がある即戦力投手がいる。またここへ来て金足農・吉田の評価が急上昇した。かつての藤浪のように即戦力として位置づけられる力を持っており、プロ志望届を提出することになれば候補に入ってくる可能性もある。
球団幹部は「スカウトの意見も聞きながら」と今後、ドラフト戦略を練っていく考えを明かした。対策が必要となってきた投手陣の整備。そこを念頭に置きながら、運命の日まで検討を重ねていく。