江越 9月反攻へ新風打ァ 「6番・中堅」先発復帰即アピール
「阪神(降雨ノーゲーム)DeNA」(31日、甲子園球場)
久しぶりの先発出場に、力みはない。降りしきる雨の中で、阪神・江越大賀外野手が魅せた打ってよし、走ってよしのプレー。スタメン起用した金本監督の期待を上回る存在感を発揮した。
3点を追う二回。江越が昇格後初の打席を迎えた。1ボールから2球目を見逃し、3球目にはフルスイングで空振りストライク。追い込まれていた。「先頭の打席だったので、なんとか出塁しようと思っていました」。強い思いが打球を運ぶ。詰まった当たりは、中堅・桑原の前にポトリ。この試合、チーム初安打を放った。
さらに光ったのは、その後の激走だ。考えたのは外野手としての感覚、心境。「グラウンドの状態が、外野手からしたら最悪だった。だから思い切っていけた」。1死一塁から梅野の左前打で、スピードを緩めることなく一気に三塁へ。持ち味を存分に発揮した。
守備力を買われての起用だった。練習前に伝えられたという先発出場。金本監督は起用理由をこう明かした。「外野の守り、守備範囲とか、そういうので起用したんですけど」。DeNA打線には、長打力を売りにした好打者が並ぶ。現にこの日も、2番・宮崎から5番・ソトまでズラリだった。守備でチームをもり立ててほしい。指揮官の願いは、思わぬ形で応えられた。
「ヒット1本だけどね。自信にしてくれればいい」
降格後、約2カ月の2軍生活でひたすら汗を流してきた。ウエスタン・本塁打王の魅力は長打だけではない。堅い守備に、盗塁もリーグ2位タイの23個だ。低迷するチームに新たな風を。「ミスを恐れず普段通りに。今やれることをやりたい」。昇格後に話していたのは、このチャンスにかける熱き思い。雨粒が降り注ぐ聖地で、江越の長所が光った。