金本阪神V逸の影と逆襲への光(1) 右打者独特の“感覚”欠如…大山、中谷らの不振

 なぜ前評判の高かった金本阪神は敗れたのか-。デイリースポーツでは「金本阪神V逸の影と逆襲への光」と題して検証する。第1回は低迷した打線。特に右打者の不振を招いてしまった要因に焦点を当てる。

  ◇  ◇

 昨年の秋季キャンプ、そして今年2月の春季キャンプを見た誰もが期待した。金本阪神3年目に大きな夢と希望を抱いた。大山、中谷、陽川らの力強いスイング、打球の強さ-。前年からの上積み、若手の成長、そのキーワードが前評判の高さへとつながった。

 しかし結果は…。開幕から新外国人のロサリオを含めて右打者がことごとく低迷。開幕から糸井、福留、糸原ら左打者が好成績を残す中で、理想としたジグザグ打線は分断してしまった。なぜ期待の助っ人、若き右の大砲候補たちは崩れていったのか。要因の一つとして右打者独特の“感覚”が欠如していたことが挙げられる。

 07年の巨人秋季キャンプ。坂本勇に対し、原監督は「練習ではすべて引っ張りなさい」と徹底させた。「右打者は練習から流し打ってたら試合で絶対に振り遅れる。練習で引っ張って引っ張って、それでゲームになるとちょうどセンターくらいに打てる」という感覚を伝えると同時に、練習から体の軸を固定し、左肩の開きを我慢しながら体の回転で強く振り切らせた。

 すべての右打者にこの指導法が当てはまるとは言わないが、その姿を念頭に置いた上で今年の阪神打者に目を向けると…。体の軸が前に流れることで、右打者はバットが前に出てこずポイントが近くなった。シーズン序盤はレフト方向へ引っ張れず、逆方向へのファウルフライが多かった。

 さらに他球団のスコアラーは打者の体が前に流れるポイントに着目し、チェンジアップを有効活用。チーム関係者も「うちはチェンジアップに弱い」と苦しめられた分析結果を語った。

 金本監督の現役時代のフォームと理論は右打者の感覚に近い部分があるが、今年2月から指揮官は信頼してコーチ陣に打撃指導を任せた。現役時代はともに左打ちだった片岡、平野両コーチもさまざまな手法を試し、各打者の状態を上向かせようと手を打ってきた。

 そんな中で8月まで2本塁打だった大山が、9月に入って一気に2桁10本塁打に到達するなど飛躍の兆しを見せている。左方向へ引っ張れる打球が多くなったことが示すように、苦しんだ末につかんだものがあれば、それが来季への糧と自信になる。

 全日程終了後には練習方法、指導方法、さまざまな角度から検証がなされる方針。若虎という原石をしっかりと磨き上げることが、広島の4連覇を阻止する第一歩になる。

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