ドラ4島田 サヨナラ打 プロ初打点で連敗阻止 初お立ち台
「阪神4-3DeNA」(6日、甲子園球場)
来季へ向け、ルーキーが存在を示した。阪神のドラフト4位・島田海吏外野手(22)=上武大=が延長十回、2死満塁でサヨナラ打を放ち、チームの連敗を5で、甲子園の連敗を8でストップした。この一打は島田にとって記念すべき初適時打、初打点だった。CS進出は消滅したが、ルーキーにとっては1試合1打席がアピールの場。残り5試合、最後まで全力プレーを披露する。
たたきつけたゴロが一、二塁間を破った。ベンチから飛び出してきたナインに祝福され、控えめに喜ぶのは背番号53を背負ったルーキーだ。島田が延長十回、右前にサヨナラ打。チームの連敗を5でストップさせた。
前打者の糸原が申告敬遠で歩かされ、2死満塁となった場面。「ここで打ったらヒーローだ」とこの日6度目の打席に入った。追い込まれるも、左腕・砂田の変化球に反応。「サヨナラ打っていうのが野球人生で初めてのことだったので」。言葉とは裏腹に、表情は冷静そのものだった。
20年ぶりの甲子園8連敗中と、チームはどん底状態にあった。この日も試合を優位に進めていたところで、七回に同点3ランを被弾。一度は球場にため息が充満するも、勝利の瞬間を見たいファンの熱い声援がグラウンドに注がれた。傾きかけた流れ。だが最後は味方が作ったチャンスを、島田が決めた。「声援が力になった。不思議な力が出た気がします」と笑みを浮かべた。
監督は能力評価
初のスタメン出場を果たした2日の広島戦。試合前には「緊張してました」とビジターにもかかわらず、ホーム用のヘルメットを着用するほどガチガチの状態。そんな姿を見かねて、声を掛けてくれたのが福留だった。
「若いけれど、グラウンドでは関係ない。外野ではセンターが一番引っ張っていくポジションだから思い切ってやってくれたらいい」
そう背中を押され、島田は試合に臨んだ。「試合前にそういったことを言ってくださるのは本当にありがたい。緊張もほぐれました」と感謝。中堅手としての自覚もにじませた。
金本監督は「キャンプからアジャスト能力というか、元々ボールを捉えるものというのは感じていましたんで」と話し、「左(投手)からスライダー2本。いくら甘いとはいえ、なかなか頭にないと手が出ないボール」と評価した。「チャンスをいただいている。ものにできるように」。島田はそう言葉に力を込め、さっそうとクラブハウスへ消えていった。