【金本監督電撃退任・上】金本体制で組閣進む中の急転劇 寝耳に水は誰だったのか
阪神・金本監督が電撃辞任した。球団側が続投方針を示し、来季巻き返しへ向けて組閣作業も進んでいた中での急展開。その裏側ではいったい何が起こっていたのか。阪神取材班が緊急連載で迫る。
◇ ◇
急転直下であり電撃的とも言える。金本監督は会見で、辞意を考えたタイミングを「最下位が決まったくらいから」と話したが…。最下位が決まったのは8日のヤクルト戦。言葉をたどれば、10日のDeNA戦後の揚塩球団社長との会談まで、決断に2日間を要したことになるが、並行して来季の「金本体制」は整いつつあった。
デイリースポーツの記事で振り返らせてもらう。
Bクラス確定翌日の5日の紙面『和田一浩氏を1軍打撃コーチに招へいし、1、2軍スタッフの入れ替えを検討』。7日の紙面『矢野2軍監督の1軍ヘッドコーチ昇格の“内定”に加え、2軍監督の候補として片岡作戦兼打撃コーチが挙げられている』
これら人事の話は10日の時点でも生きていたことだった。7、8日の東京遠征中には、1軍コーチ陣に対して来季の役割を含めた話し合いが行われ、その後、谷本球団本部長自ら宮崎に飛び、フェニックス・リーグ参加中の2軍スタッフらとも、来季に向けて話し合っている。
ある球団首脳は「金本監督が呼んできたスタッフですから、退団させることはない」と話していた。着々と、金本監督の意向もくんで来季の組閣作業は進められていた。事実、数日前まで指揮官も、コーチ陣に来季の話をしていたこともあったという。それもかなり前向きに、だ。
来季が3年契約の2年目。金本監督の続投方針に関してBクラス確定後に「もちろん。そのつもりです」と話し、最下位確定後に「変わりません」と答えたのは、谷本本部長だった。揚塩球団社長はいずれの試合も球場にいながら、報道陣に口を開かなかった。
この日の会見で揚塩社長は「(辞意を聞いて驚いたかと問われ)もちろんそうです」と話し、「(シーズン中に監督と)会話の中でちょっと愚痴というか、私と2人だけなのでそういうのを漏らす時もあったので」と振り返った。愚痴の内容はともかく、苦悩を感じていたなら、もっと公にフォローしてもらいたかった思いがある。
谷本本部長はフォローの言葉を言い、揚塩社長は言わなかった。もしくは言えなかったのか。寝耳に水だったのは本当は誰だったのか-。疑問が残る会見となった。