環境が整っていた高校時代…高校、大学先輩が明かすドラ1近本の素顔(1)
25日に行われたドラフト会議で阪神からドラフト1位指名を受けた近本光司外野手(23)=大阪ガス。同じ社高、関学大の野球部で投手として活躍した3学年先輩のデイリースポーツ・井上慎也記者(26)が、近本の素顔を紹介する。
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淡路島から家族と離れて社高校に入学した初めての生徒が近本だった。海に囲まれた地元とは違い、高校があるのは兵庫県のほぼ中心の山間部。先輩もいなければ、友達もいない。そんな地にたった1人でやってきた。
3歳年下の近本に初めて会ったのは、年末のあいさつをするために母校を訪れた2010年の冬。ちょうど強化合宿中で、全員がへとへとの状態だった。そんな中で実施されたのが100メートルの往復ダッシュ。正直、初対面の印象は、1年生の小柄な選手が先頭を走っているな、ということしか覚えていない。
高校には存分に野球に打ち込める環境が整っていた。公立校ながら体育科が存在し、当時は野球部員の大半が体育科生。敷地内には野球部専用のグラウンドもあり、内野には照明設備もある。授業がない日は朝から晩まで練習に没頭できた。
体育科という特殊な学科で学んだことも、プレーする上で大きく影響を与えたはずだ。授業では栄養学や体のしくみなど専門的な分野を主に学ぶ。どうすれば自分の体を思うようにコントロールでき、万全のコンディションにもっていけるか。授業などを通じて、野球選手としての自分に何が必要で、何に取り組むべきかという計画性を身につけられたのではないかと思う。
実は近本は高校時代にも、チーム方針で投手から外野手に転向している。まずは体作りから。入学時は身長が170センチに満たず、投手としては小柄すぎた。1年冬には体力強化も兼ねて外野手へ。すると、徐々に才能の芽が開花していった。
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井上慎也(いのうえ・しんや)1992年3月2日生まれ、26歳。兵庫県出身。社高、関西学院大経済学部を経て2015年にデイリースポーツ入社。整理部、広島担当を経て2018年から阪神担当。小学3年生から野球を始め、中学、高校、大学と15年間野球漬けの日々を送った。