寮長任される一方実直すぎる一面も 高校、大学先輩が明かすドラ1近本の素顔(2)

 25日に行われたドラフト会議で阪神からドラフト1位指名を受けた近本光司外野手(23)=大阪ガス。同じ社高、関学大の野球部で投手として活躍した3学年先輩のデイリースポーツ・井上慎也記者(26)が、近本の素顔を紹介する。

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 投手として社高に入学したが、小柄すぎるということで1年時は体作りを目的として外野手となった。投手としての素質を買われていただけに、当初の予定では体を大きくするための短期間の転向だったが、足が速く打撃もいい。メキメキと頭角を現し、外野手としてチームに欠かせない存在となってしまった。

 2年秋の新チーム結成時には再び投手に。しかし他に試合を任せられる投手がいたため、主に外野で出場していた。関学大には投手として入学しながら2年の時に外野手に転向したが、高校での経験があったから大学ではスムーズにいったのではないかと思う。

 野球以外にも近本を物語るエピソードがある。高校入学とともに始まった人生初の寮生活。2人部屋で掃除や洗濯など身の回りのことは自分でしないといけない。寮にはもちろん同じ体育科の先輩もいる。「大変でしたよ。いろいろと…」。運動部が集まった縦社会。常に周りの様子を見て気遣いながら行動していただけに、1年生の1年間は大変だったはずだ。

 ただ、連日紙面を飾っている写真からも分かるように、屈託のない笑顔や底抜けに明るい性格で溶け込むのも早かった。そんな人間性を買われて高校3年時には教員や先輩らの推薦で寮長に抜てきされた。恩師の橋本智稔・社高元監督(51)=現農業高定時制主幹教諭=は「生徒だけでなく、先生方からの信頼も高かった。誠実で誰からも好かれるようなタイプだった」と選出理由を明かす。

 一方で、真面目すぎる性格だけに事件もあった。2年生の2月に体育科のみが行うスキー合宿、通称体を大きくするための“食べる合宿”での出来事。食事で用意されたご飯は全て食べきらないといけない。食べてもすぐに新しいご飯が炊かれ、なかなかなくならないのだが…。高校時代に経験した私はペースダウンし、終了と言われる時間が来るのを待っていた。しかし、恩師によると近本は限界まで食べて、耐えきれずにトイレへ駆け込んでいたという。本当に真っすぐな男だ。

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 井上慎也(いのうえ・しんや)1992年3月2日生まれ、26歳。兵庫県出身。社高、関西学院大経済学部を経て2015年にデイリースポーツ入社。整理部、広島担当を経て2018年から阪神担当。小学3年生から野球を始め、中学、高校、大学と15年間野球漬けの日々を送った。

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