関学大練習会で記者が審査役 走力も肩も二重丸 高校、大学先輩が明かすドラ1近本の素顔(3)
25日に行われたドラフト会議で阪神からドラフト1位指名を受けた近本光司外野手(23)=大阪ガス。同じ社高、関学大の野球部で投手として活躍した3学年先輩のデイリースポーツ・井上慎也記者(26)が、近本の素顔を紹介する。
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高校2年の新チーム結成時には、外野と兼務で再び投手でも起用されるようになった。入学後から主に野手として試合に出場していた中、投手への道も諦めてはいなかった。打撃や守備練習に時間を取られ、ブルペンに入る時間はほとんどない。そのため、外野練習の遠投で球筋を意識し、トレーニングでは下半身を重点的に強化。投手としての役割を求められるときが必ず来ると信じていた。
3年夏の兵庫大会では、背番号1の右腕と二枚看板としてだけでなく、不動の3番打者としてチームをけん引。甲子園出場はならなかったが、県ベスト8入りに貢献した。
高校野球を終えると、地元・関学大の練習会に参加。当時の練習会では監督、コーチだけでなく3、4年生も審査役を務めた。私は投手を担当し、近本の採点を受け持った。50メートル走は参加メンバーの中で最も速く、ブルペンでも力強いボールを投げていた。高校の後輩ということに関係なく、私は二重丸を付けた。
大学入学後は1年間ともに練習した。50メートル走は勝てなかった。20メートル走なら何度か勝った覚えがあったが…。改めて本人に確認すると「慎也さんには負けたことないですよ。丈さんには負けてましたけど」と否定された。近本でも勝てなかったのが、15年度ドラフトの育成3位で関学大からDeNAに入団した田村丈投手だ。確かに相当速かった。
大学では「自分でゲームメークすることができ、足腰と肩をしっかりと鍛えられる」と、投手としてスタートした。だが、チームには投手が60人ほどおり、なかなか出場機会に恵まれなかった。近本が1年生の冬を迎えたころ「野手に転向しようと思うのですが」と相談された。自分の中ではほとんど決断しているのだろうと思い、私は止めなかった。野手転向は成功し、外野のレギュラーへと成長していった。
大学卒業後は大阪ガスで活躍。今年の都市対抗野球では首位打者に輝き、橋戸賞を獲得した。そして運命の10月25日。念願だったプロ入りをつかみ取った。これからは担当記者として後輩の活躍を伝えていきたい。=おわり=
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井上慎也(いのうえ・しんや)1992年3月2日生まれ、26歳。兵庫県出身。社高、関西学院大経済学部を経て2015年にデイリースポーツ入社。整理部、広島担当を経て2018年から阪神担当。小学3年生から野球を始め、中学、高校、大学と15年間野球漬けの日々を送った。