【阪神新コーチに聞く・浜中打撃コーチ(上)】甲子園は嫌な球場じゃない
矢野燿大新監督(49)をトップに据えた阪神の秋季キャンプが高知県安芸市でスタートした。17年ぶりの最下位に終わった今季。14年ぶりのリーグ優勝を目指す来季。広島の牙城を崩すには何が必要で、何が足りないのか。「新コーチに聞く」。2回目は浜中治打撃コーチ(40)の第1回。
◇ ◇
-福留、糸井、鳥谷ら主力は左打者が中心。現有の右打者に掛かる期待が大きくなる。
「糸原にしてもそうです。スタメンで左ばかり並ぶと苦しい。右がポイントになると思います。甲子園の浜風を使えるのは右打者の利点。重要性が出てくると思いますね」
-4番は右打者の方が収まりがいいのでは。
「浜風があるから、そう言われるんでしょうけどね。一番は外国人選手が座るのが、強いチームなのかもしれない。ただ、甲子園はホームランが出ない、出ないと言われます。僕としては嫌な球場じゃなかった。今、甲子園の打率って悪いでしょ。すごく打ちやすい球場だったのに」
-イメージが先行しているようだ。
「先入観で広いな、遠いな、浜風嫌やなとかね。僕は逆に利用して打っていましたから。きょうは風がこっちに吹くから、ポンって打ったら落ちるな、とか。そうやって楽に考えた方がね。少々、上げてもホームランは入るな、とか。あのお客さんがいて、声援があって勝てないのは残念。選手が苦手意識を持ちすぎている。嫌な球場じゃないよと伝えるのは、僕らの役目だと思います」
(続けて)
「僕はホンマに幸せだと思う。これだけの球場があって、あれだけのお客さんが入った中で、試合ができるというのは。いまでも打席に立てと言われたら、立ちたいですよ、本当に。あの感覚はもう、選手でしか味わえないものなので。それだけ球場の雰囲気は独特だと思いますね」
-そのために改善すべき打撃の数字とは。
「打率(・253)と得点(577)ですね。100点くらいは多く…広島は700くらいでしょ?(721)。それに勝とうと思ったらもっとです。200点くらいね。うちは投手陣がいいので、接戦でいかに1点を取れるか。ヒットを打つだけが得点ではないので。いかにして走者を進めて進めて、サードにいったときに点を取れるかですよね」
(続けて)
「細かい点の取り方が甲子園でも重要になる。03年の強かった時などは1点を取って、また塁に出て、そこでホームランを打って…。3点、4点がすぐに入るというイメージだった。走者がいなくなってからでも、つないでつないでまたチャンスを作ってとね」
-広島もそうだ。
「常に一、三塁という形でしょ。そういう野球が徹底されている。でも、矢野監督も言っておられましたけど、今年の2軍でやってきたことを。超積極的とか、追い込まれてからも何とか諦めずに、四球を取ったり投げさせたりというね。それは継続してやっていきたいと思います」