【阪神新コーチに聞く・藤本内野守備走塁コーチ(上)】鳥谷直訴の遊撃…若手は奮起を
矢野燿大新監督(49)をトップに据えた阪神の秋季キャンプが高知県安芸市でスタートした。17年ぶりの最下位に終わった今季。14年ぶりのリーグ優勝を目指す来季。広島の牙城を崩すには何が必要で、何が足りないのか。「新コーチに聞く」。1軍へ昇格した藤本敦士内野守備走塁コーチ(41)に迫る。
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-2軍から1軍へ。気持ちの面で変わった部分はあるか。
「僕の気持ちが変わった部分はないかな。ここ(安芸)に来たということは、来年はみんなレギュラー争いというか、1軍に残りたいという気持ちもあるだろうし、レギュラーを取るっていうね、人それぞれ目標数値が違うから。僕らは、選手が1軍で活躍するためにと、ファームからずっと思っていたことをそのままやっています。とにかく選手が活躍するためにという気持ちが一番」
-最大の問題は正遊撃手。今季は8人もの選手が守った。
「もちろん9人固定が強いチームの象徴だろうけど。2003年に僕が守って、04年から鳥谷がしっかりショートを守ったというのが常勝というかね。チームがずっとAクラスにいるっていう結果で残っているわけで。それを誰がどうつかむのかっていうのは、このキャンプから始まるだろうし。今はどこでもレギュラーが空いている状態で、これをどうつかむのか勝負でもあり、チャンスでもある。そこでプレッシャーに負けるようならば、試合でも結果は残せないだろうし。1軍は結果の世界だから」
-中でも打てる北條が50試合に先発出場。
「北條はいろいろなことに目配り、気配りができているしね。何事にも準備を怠らないということは、守っている中でもすごく姿勢が見えている。そういうところはベンチから見ていても、安心感がある。もしセカンドランナーがいきました、三盗されそうだなと思ったときに、即座に投手に『目だけでランナー見ておけよ』っていう一声がかけられる。そういう気配りがすごくできる子。その前段階の準備力がすごくたけてきたかな」
-ベテランの鳥谷が遊撃での練習スタートを直訴した。若手選手の捉え方は。
「『鳥谷さんはもう休んどいてください』と思うのが普通。トリ(鳥谷)にしてみれば、まだまだこんな若いやつらには負けへんでという裏返しの言葉かもしれないし。まだやりますではなくて、俺の方がショートとしてレベルが高いぞと本人が思っている…で、それを思わせている若手には奮起してもらいたい。やっぱり物足りないから、ああいう言葉が出てくるだろうし。誰もが認めるショートはまだいないわけだから。鳥谷にそういう言葉を出させた時点で、あいつらにはもっと奮起してもらわないといけない。『鳥谷さんショートくるんだ』と思うのか、『鳥谷さんもういいですよ』って思わすのか」
-誰もが認める遊撃手の絶対条件とは。
「ベンチにしてもピッチャーにしても信頼できる…信頼されるショートが一番。あそこ飛んだらもう大丈夫だなと思わせるくらいのね。試合状況によってもそうだし、サインも見えますし、ベンチが思っていることを即座にできるのが理想かな。試合っていうのは動いているものだから、その動きに順応できる野球の頭は必要だろうし」