中谷5打点!豪快3ランに大爆発「初球から」超積極打法で逆襲や 浜中コーチ及第点
「練習試合、阪神15-5LGツインズ」(17日、安芸市営球場)
“安芸”晴れの下、白球が美しいアーチを描く。今年1年悩み、苦しみ続けた男の会心弾だ。声援を送った4300人の観衆たちの度肝を抜く3ランに、仲間も笑顔で待ち受ける。恒例の「あごタッチ」の時間だ。中谷が無邪気に笑った。
韓国・LGを一気に突き放したのは、初回の攻撃だ。仲間の快音が呼応する。そんな中、2点を先制し、なおも好機の1死一、二塁で、中谷の第1打席が巡ってきた。ここで甘い球は見逃さない。122キロのスライダーにフルスイングで反応すると、左翼上部のネットは大きく揺れた。
試合後に、浜中打撃コーチが笑顔で明かした。この大きなアーチには伏線があったという。本塁打の直前に、同じようなスライダーをファウルにしていた部分に着目した。同コーチは「あれがあったから1球で仕留められた。2軍の頃から言ってきたんだけど、振ってタイミングを合わせるということだね」と及第点を与えると、こう続けた。「去年のいい形になりつつある」。すると練習後の中谷も、充実した表情で振り返った。
「今日は積極的にいこうと思っていた。初球から振っていって、試合にしっかり入っていけたと思う」
さらに快音は続く。二回には無死一塁から左前打を放ち、チャンス拡大。三回には1死満塁の好機で、三塁強襲の適時内野安打を放った。ボールが三遊間の深いところを転々とする間に、走者2人が生還。この日5打点の大活躍となった。
ケガの功名だった。秋季練習中に腰を痛め、全力でスイングできない状態でキャンプイン。だからこそ、そんな状態でも打球を飛ばせる方法を考え続けた。度重なる試行錯誤。そしてようやく「こうやっていこうという形が見えた」と口にする。
実りの“安芸”もクライマックスだ。「全部が全部いい当たりではなかった。突き詰めてやっていきたい」。収穫と手応えを、来季への最高の手土産とする。