【阪神ドラフト選手紹介・近本光司外野手(1)】水泳、サッカー経験も選んだのは
今秋のドラフト会議で阪神から指名を受けた7選手(1~6位、育成1位)を紹介。ドラフト1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=の軌跡を追う。
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1994年11月9日、近本家の三男として誕生した。同年の11月場所後に横綱昇進が決定した貴乃花光司のように、丈夫で立派な人に育ってほしいとの願いを込めて「光司」と名付けられた。
父・恵照さんは「兄弟げんかとか悪さすることはなかった。2人の兄が野球をやっていたので、小さい頃から練習や試合を見に行く時には連れて行っていました」と懐かしそうに振り返る。物心ついた頃から野球に囲まれた生活で自然と長男・真一さん、次男・憲亮さんの背中を追っていった。
兄のまねをして、3歳になる頃にはプラスチックのバットを常に持ち歩くようになった。初めは兄と同じように右でバットを振っていたが「光司は左利きだから、左で振らないといけないと教えました」と父から初めて指導を受けた。ふらつきながらも見よう見まねで、左打ちのバッティング練習を始めた。
選択の幅を広げるため、野球に熱中するまでは他のスポーツも経験させた。3歳からは短期的に水泳に挑戦。小学校2年生の頃にはサッカーにも取り組んだが、最終的に選んだのは野球だった。
小学3年生になると父がコーチを務め、兄2人も入っていた少年野球チームの「仮屋クラブ」に入団。野球漬けの日々がスタートした。
朝から日が暮れるまで野球にのめり込んだ。自宅の庭にティー打撃用のネットが設置され、小学生の頃には2人の兄が終わった後に同じように打撃練習。兄弟3人に父が順番にトスを上げ、それを打つ。「ボールを芯で捉えたり、バットコントロールは兄弟の中で光司が一番よかった」。恵照さんは幼い時からミート力が高かったことを述懐する。
小学5年生では、1学年上のメンバーが少なかったこともあって、6年生のチームで試合に出場。器用さを買われて左投げながら三塁を守ることもあった。6年生では中堅のレギュラーに。投手をさせるという案もあったのだが、本人が乗り気ではなく登板することなく終えた。
中学でも2人の兄が汗を流した東浦中の軟式野球部に入部。もう、背中を追うだけでは満足できない。「兄貴には負けないぞ」。徐々に芽生えていった向上心とともに、メキメキと技術も向上していった。
◆近本アラカルト
生まれ 1994年11月9日、兵庫県淡路市出身
サイズ 170センチ、72キロ
投打 左投げ左打ち
血液型 B
球歴 父と兄の影響で8歳の時に野球を始める。淡路市立東浦中学校から兵庫県立社高校に進み、高校時代は投手で、夏は県8強が最高成績。楽天1位の辰己は2学年後輩。関学大2年時に外野手に転向した。大阪ガスでは今夏の都市対抗野球で打率.524をマーク。首位打者とMVPにあたる橋戸賞を受賞し、初優勝に貢献した。
新婚 今年3月に東浦中学同級生の未夢さん(23)と入籍
趣味 旅行と料理。ドラフト前夜は景気付けにポトフとギョーザを作った。
座右の銘 毎日を大切に過ごす
俊足 50メートル走は5秒8
対戦したい投手 巨人・菅野