オリックスから国内ＦＡ権を行使し、阪神入りを表明していた西勇輝投手（２８）が１４日、大阪市内のホテルで入団会見を行った。矢野燿大監督（５０）からキャリアハイの「１３勝以上」を期待された右腕は、年間「１８０イニング」を目標に、１４年ぶりのリーグ優勝を誓った。指揮官が掲げるファンを喜ばせる野球を体現し、「甲子園を熱くできたら」と新天地に挑む覚悟を口にした。

　高まる感情を隠しきれないのか、西は無邪気に笑っていた。矢野監督、揚塩球団社長と並んで臨んだ入団会見。指揮官が期待、賛辞の言葉を口にするたびに、白い歯を見せながら照れ隠しする。求められたのはキャリアハイの１３勝以上。誓ったのは先発投手の柱としてフル回転する覚悟だ。

　「ホッとしてます」。阪神・西としての第一声に思いが募る。１１月７日のＦＡ宣言から丸１カ月。決断には長い時間を要した。移籍か、残留か。阪神か、ソフトバンクか…。「自分が一番合っている球団が阪神だと思い、お世話になることに決めました」。背景に聖地・甲子園、熱心なファンの存在を挙げる。

　「自分のプレースタイルでは、本拠地が甲子園ということで有利なのかなと。たくさんのファンが熱く応援してくれるので、それに後押しされて投げてみたいなと思いました」

　矢野監督が信条に掲げるのは、ファンを喜ばせる野球の実現。「クレバーな投手」と表現する指揮官が、新戦力に期待するのは１３以上の勝ち星、その過程で周囲に及ぼす相乗効果だ。「１３以上は勝ってくれる。その頑張りを見ている若手にも、勝手に影響を及ぼすでしょう」。投手だけではなく、捕手目線でも抜群の制球力を持つ投手のリードが、成長につながると確信する。

　通算７４勝。２桁勝利５度の２８歳に球団が求めるものは多い。覚悟の上で踏み出した一歩に、西も期待通りの活躍を約束する。「自分の中ではイニングを重視します。一つでも中継ぎの負担を減らし、チームのために貢献できたらいい」。完封、完投以上に１年間、ローテーションを守り、試合を作る“イニングイーター”の活躍だ。

　「平均的に６、７、８回と仕事を全うできるように。年間で１６０から１８０（イニング）をコンスタントに投げられたら。１年間フルで投げたらおのずと（１３勝など）そういう成績が出ると思う」

　より高額なオファーを蹴ってまで、タテジマのユニホームに価値を求めた。会見後、初めて「ＮＩＳＨＩ　１６」に袖を通し、はにかんで見せた。「うれしいです」。岡田彰布、安藤優也らも背負った伝統の系譜。西が背中と成績で紡ぐ。「甲子園を熱く、優勝を目指して頑張っていきたい」。熱狂的なファンに１４年ぶりの歓喜を。これ以上ない決意表明だ。