矢野監督、星野さんに恩返し 日本一へ「俺は俺らしく」
阪神・矢野燿大監督(50)が21日、大阪市内のホテルで開催された旧大阪星野仙一後援会(通称・大仙会)のメンバー有志による激励会に出席した。星野イズムを受け継ぎながらも、「俺は俺」と自らのスタイルを築く意志を示し、星野氏が阪神では達成できなかった日本一へ気持ちを新たにした。
思い出話に花が咲いた。星野氏の誕生日前日に開催された激励会。矢野監督は330人の参加者に囲まれ、闘将の在りし日の姿を思い出した。
阪神を、関西を盛り上げる。強い信念を持ち、勝利への執念を示し続けてくれた。その姿は決して忘れない。思いを受け継ぎ、恩師が阪神でたどり着けなかった頂を見据えた。
「生きてるうちに『楽天と阪神で日本シリーズをやろうぜ』っていつも言っていたのを思い出す。まずは日本シリーズっていうのは、すべての人に対する恩返し、星野さんに対する恩返しにもなるのでね」
星野氏が阪神の監督だった03年。正捕手としてリーグ優勝に貢献した。だが、日本シリーズではダイエー(現ソフトバンク)に敗戦。「リーグ優勝だけで終わってるから。日本一っていうのは、その頃からずっと思ってるし、監督になってもその思いは強い」。同シリーズ後、恩師は志半ばで縦ジマを脱いでいる。その無念さを忘れたことはない。
今度は自身が阪神を率いる立場となった。星野イズムは礎であり、学んだことは心に深く刻まれている。経験を基に“矢野色”を出していく。
「星野さんに教えられたことは、俺の中から出てくると思うけど、俺は星野さんにはなれない。生意気というか、そんなつもりはないけど、俺は俺らしくという部分もあるから」。選手に伝えてきているように、自身も喜怒哀楽を表現し、一緒に戦う。そして、頂点を目指していく。
壇上でのあいさつでは力強く言った。「星野さんにいつの日か、できれば今年、『やりました!!』と報告できるように頑張りたいと思います」。会場に響き渡る拍手の中、天国の恩師に伝えるように、表情を引き締めた。