【専門家の目】原口がん公表 初期の大腸がんなら施術翌日には退院
阪神は24日、原口文仁捕手(26)が大腸がんの診断を受けたことを発表した。近日中に手術を受け、治療に専念する。大腸がんについて、松本クリニック・松本浩彦医師に聞いた。
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ひとことで大腸がんと言っても、がんの大きさによって治療法は異なります。直径1センチ程度のポリープ状でしたら、大腸の内側から内視鏡を使って焼き取れます。がんが浅く粘膜層にとどまっていればそれで終了。翌日には退院でき、普通の生活に戻れます。
ところが切除したポリープ内のがんが粘膜を深く超えて筋層まで達していた場合、後日追加の開腹手術を行い、大腸を一部切除します。周囲のリンパ節も同時に取ります。開腹と言っても、腹腔(ふくくう)鏡というカメラを使った手術ですと、傷も小さく筋肉へのダメージも抑えられるため、退院は2~3週間です。
それでも取りきれないほど、がんが大きい場合、おなかをバッサリと切り開けて、がんと同時に相当な長さの大腸とリンパ節を摘出します。これは場合によって1カ月以上の入院と、術後の抗がん剤や放射線治療が必要となるケースが多く、アスリートが現役復帰するには2年近い歳月が必要でしょう。
さらに大腸といっても上行・横行・下行・S状結腸、そして直腸と、場所によっても術式が異なります。いま得られている情報だけでは、手術術式、入院期間、そして肝心の現役復帰までの時間は、予想の範囲でしかありません。
◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ) 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。