守護神は球児!江夏氏確信「球が若い。異常体質」 ブルペン熱視線で太鼓判
「阪神春季キャンプ」(15日、宜野座)
阪神OBの江夏豊氏(70)が15日、藤川球児投手(38)の守護神奪回に太鼓判を押した。沖縄・宜野座村で行われているキャンプを視察。通算206勝、193セーブのレジェンドは「球が年々、若返っている。異常体質だ」と、最大級の賛辞を贈った。“伝統の一戦”を戦う阪神と巨人が優勝争いするシーズンを願い、ベテラン右腕をキーマンに指名した。
真っ黒なサングラス越しに、阪神の将来に思いを巡らせた。球場に到着した江夏氏は、その足でブルペンに直行。「俺はここしか見るとこがないからな」と笑った。ネット越しに捕手の後方から藤川の投球に熱視線。真っすぐ伸びる軌道に驚きの言葉で賛辞を贈る。
海を渡る前の12年シーズン以来、7年ぶりとなる抑え再挑戦を公言。江夏氏は「大したもんだよ」とうなずいた。「球が若いよ。年々、若返っている。異常体質だよ」。火の球と呼ばれる直球に健在を確信した。何より長く抑えを担った“同志”として、レジェンドは胸中を思いやった。
「何年か中継ぎをやったり、変なところで使われたりしたからな。悔しい思いもあっただろう。心に秘めて投げるんじゃないかな」
藤川は阪神に復帰した16年に先発挑戦。だが結果を残せず中継ぎに配置転換され、時に敗戦処理も担った。最終回の3アウトを奪う苦悩、苦労は経験者にしか知り得ない。「嫌というほど経験しているだろうから」と前置きした上で、抑えとしての“3カ条”も口にした。最も重要視したのは心の部分だ。
「連日登板に耐え得る体力、精神的なタフさも養っていかないと。何年間か空白があるから。本人がどれだけ、気持ちを引き締めてやれるか、だな。それによってタイガースの順位も変わってくる」
藤川はこの日、投げる前に江夏氏へあいさつし、短く言葉を交わした。その後、同氏の真正面でカーブ、フォークも交えて52球。「いまいちだった」と苦笑いで振り返ったが、レジェンドのエールに「感謝して頑張りたい」と前を向いた。「僕らはプロなので。試合で結果を出すのが仕事」。シーズンを逆算した調整に狂いはない。
球団のOB、そして球界を背負ってきた左腕として、江夏氏が願うのは阪神、巨人の再建。伝統の一戦が優勝争いを左右するペナントだ。「阪神と巨人がセ・リーグ、プロ野球を引っ張っていくのが、一番盛り上がるだろう」。浮上のキーマンとなるのが、守護神・藤川だと確信する。レジェンドはベテランに命運を託し、14年ぶりのリーグ優勝を願った。