上本 ケース打撃で衝撃弾“今季1号”虎党お祭り騒ぎ「オォー!」
「阪神春季キャンプ」(16日、宜野座)
度肝を抜く衝撃弾で景気づけだ。阪神の上本博紀内野手(32)が、沖縄・宜野座で行われたケース打撃の先頭で才木浩人投手(20)の初球を左越えに運び、球場をお祭りムードに一変させた。17日の日本ハムとの練習試合では「1番・二塁」で自身今季初の対外試合に挑む。切り込み隊長として結果を残す。
快音後に訪れた静寂は、一瞬でかき消された。ケース打撃開始からわずか数秒で飛び出した衝撃弾。上本が描いたアーチに観客が驚き、どよめいた。鳴りやまない拍手。こだまする「オォー」という大歓声。沖縄らしい指笛に迎えられ、堂々のグラウンド一周だ。
少し暖かい風が吹き始めた昼下がりだった。マウンドには若手筆頭株の才木。上本が先頭で打席へ入る。その初球、137キロ直球をいきなり左翼芝生席まで運んだ。
復活の息吹が芽吹く“今季1号”。「いつも初球からいこうと思っています」。大きな盛り上がりの中で、あくまでも冷静にそのシーンを振り返った上本。故障明けでも…故障明けだからこそ、迷いのないフルスイングは健在だった。
矢野監督も上本の魅力を再確認した。2段モーションで初球を投じた才木。実はタイミングがずれていたという。それでもパンチ力のある打棒は、決して力負けしなかった。「すごいな。足を上げるタイミングも合っていなかったのにね」と驚き、言葉を続けた。
「足も魅力やし、ああいうふうにハマればホームランも打てるというのは、ウエポンの魅力だからね」
長く険しい道のりを乗り越えて、今がある。リハビリに励んだ8カ月間。沖縄での先乗り自主トレでも、初実戦の日を思っていた。昨季ケガで離脱した間に、自らの定位置だった二塁には糸原が台頭。今年初の対外試合となった14日の練習試合・楽天戦でも糸原が二塁で先発出場した。横一線ではないことは理解している。「結果を出せるように」。思いが、覚悟となって唇を伝った。
ついに戦いの場へ舞い戻る。故障後初、288日ぶりの対外試合出場となる17日の日本ハムとの練習試合で「1番・セカンド・上本」のコールが鳴る。気持ちを新たに向かう明日へ。「次は次で頑張ります」。復活を期す新章開幕-。宜野座の空を彩った衝撃を定位置奪取への号砲とする。