上本また衝撃…連日の初球先頭弾 今クールMVP!矢野監督「見事」
「練習試合、阪神4-4日本ハム」(17日、かりゆしホテルズボールパーク宜野座)
小兵戦士のパンチ力が大爆発中だ。阪神の上本博紀内野手(32)が17日、前日のケース打撃に続き、2日連続で先頭打者&初球本塁打を放った。日本ハム先発・有原からバックスクリーン左へ豪快な“今季1号”。矢野監督から北條とともに今クールのMVPに選出され、正二塁手争いの一番手に名乗りをあげた。
あの衝撃弾は、伏線だったのか-。
舞台は整った。上本がファンへ送るショータイム。全ては元気な姿を見せるために、だ。日曜日に行われた2度目の対外試合。今キャンプ初めて外野芝生席を開放するほどの観衆がつめかけた中、“2試合”連続の先頭打者初球本塁打を放り込んだ。
フルスイングに導かれるように、バットが空を舞う。「いけー!!」。ファンの願いが言葉になった。その直後。白球がバックスクリーン左に、大きくはずむのを確認。日本ハム・有原の直球をいきなり捉えた一撃に、どよめきと大きな拍手が起こった。
予行演習だったのかもしれない。16日のケース打撃でも、この日と同じシチュエーションで打席へと向かった。先頭で、初球。才木の直球をいきなりフルスイングで捉え、左翼芝生席まで運んでみせた。見せつけたのは、代名詞であるパンチ力。爆発的な存在感を残し、今クールMVPだ。矢野監督は言う。
「2日続けて、初球をホームラン打っていますから。見事に持ち味を見せてくれたね」
昨年5月に左膝前十字靱(じん)帯を損傷した。長かったリハビリ生活。少しずつ増えていくメニューを地道に、コツコツと消化した。「今日も進展はないです」とつぶやき、もどかしさだけが募った。光が見え始めた頃からだったか。口癖のように話した。
「ユニホームを着て練習がしたい」
そんな苦しい日々を乗り越え、この日球場の真ん中をタテジマに身を包んだ上本博紀が駆け抜けた。帰ってきたんだ。迎え入れてくれるたくさんの虎党へ、3方向に頭を下げ、歓声に応えた。「結果はいいときもあれば悪いときもある。今日はよかったけど、明日どうなるかわからない」。危機感と隣り合わせの中で残った手応え。ベンチに戻り仲間が笑うと、ようやく上本も笑った。ただただ、うれしそうに。