【藤川×岡田氏対談1】今のシステムやったら絶対に60試合は投げんとあかんわ
阪神・岡田彰布元監督(61)=デイリースポーツ評論家=と、今季の守護神奪回を目指す藤川球児投手(38)の“師弟対談”が実現した。05年に球団史上最後の優勝を果たした指揮官と、Vメンバーが予定時間をオーバーして言葉をぶつけ合った内容は、勝つために何をすべきか、勝つためにどうチームを変えていくか-。最下位からの巻き返しを図る上での最善策を語り尽くした。対談その1。
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-(9日の)対談を前にブルペンでの投球練習を視察した。
岡田「うん、まあ今日見た中では一番良かったな」
藤川「ありがとうございます。今日で3回目だったんですけど」
岡田「他のピッチャーよりはええわ」
藤川「まだ全然ですけど(笑)」
岡田「それより、後ろ(ストッパーを)やれって言われたん?」
藤川「矢野監督は『球児で考えたい』と。『自分でそう考えているんやったら、任せたい』と言ってもらって。自分もその気でやらせてもらってます」
岡田「しかし、同じタイプばっかりになるもんな」
藤川「だから右、右、右で(球速が)速い、速い、速いばっかりになってしまうんで。ジョンソンは真っすぐとカーブで縦系のピッチャーなんですよね。4シームで。桑原がカットボールがあってね」
岡田「能見を挟んだらやりやすいよな。ジョンソンがどこまでできるかどうかは分からんからな」
藤川「そこに関して自分の中ではあまり(順番に)こだわりは無いんですよ。だから自分がどうこうより、チームがいいスタートを切りたい。それだけなんですよ」
岡田「本当は七回からきっちり3人で行くという形に決めた方がいいんやけど。5人くらい候補がおって、『七回から誰が行くよ』となった時とか。前の日の打たれ方とか。候補がいっぱいおったらベンチは迷うんよ」
藤川「難しいですよね。決めた方が絶対に動きやすいですし。あとは1年間、故障をしないこと。去年は故障してみんな抜けて行ったんで」
岡田「でも後ろの外国人は怖いよな。計算という意味でな」
藤川「確かに外国人投手というのは、はまったらすごいなと思います。でもどうやってアウトを取るとか。はまらなかった時にですよね」
岡田「理想は三者凡退だよな。ランナーを出さなくて、セットポジションもないってことがな。でもそれは理想であって、そんなうまいこといけへんからな。そらもう、相手があきらめてくれたらいいんやけどな。相手もいろんなことを考えて崩そうとしてくるわけやから。そこらへんが難しいよな。それやったら、もう(順番は)決めた方がええよな」
藤川「七回、八回になるとやっぱり作戦もあるし」
岡田「3点リードしていて相手が打つだけだったら、誰でも行けるんだよ。1点リードで七回に来て、先頭打者にフォアボールを出してしまう。そういうことが、一番怖いんよね」
藤川「自分としても左の軟投派みたいなタイプが1人いて、そういう投手が前にいてくれるとすごく助かるんですよね」
岡田「(ストッパーは)1年に5回も6回も失敗されたら困るわけやからね。ベンチは。そういうポジションやから」
藤川「オフの間にいろいろと話を聞いたんですが、他球団の人は自分が後ろの方がイヤだと。まだ途中から出てきてくれた方が、攻撃しやすいと言われて。後ろ(ストッパー)だったら思い切ってバットを振れないのが、七回くらいだったら思い切って振ってみようとなる。九回だったら相手も(ボールを)見ようとなるところが、最終回じゃないと思い切って攻めることができる。(ドリスが)ストライクゾーンで勝負する投手なので、見やすいところもあったと聞いたんですけどね」
岡田「だから後ろ(リリーフ陣)が勝敗に絶対、かかわってくる。そういう時に最低でもみんな60試合は投げなあかんわ」
藤川「僕も去年は50試合でしたけど、それじゃ厳しいですよね」
岡田「今のシステムやったら絶対に60試合は投げんとあかんわ」
藤川「(リリーフ陣で)25勝は持ってこないといけませんもんね」
岡田「計算上は20試合くらい完投できるピッチャーがおればいいんやけど…。負け完投でもええわ。それやったら(リリーフ陣が)楽になるわ」
藤川「昔だったら福原さんが8勝15敗とかでも完投してくれたらすごくありがたかったんですよ。(3連戦で)他の2つは絶対に勝てるって。そういうのを取る発想になってくればいいんですけど」
岡田「タイプはあるかもしれんけど、若い先発投手が5か6イニングを投げることは大事かもしれん。それで自信をつけるとかな。それよりも後ろ(リリーフ)で1イニングをやるんよ。まず勝ちパターンで1イニングずつ使う。それで自信になるんよ。だから先発で使うよりもまず1イニングで自信をつけさす。そういうピッチャーを勝ちゲームで1イニングずつ投げさせることで、すごく自信をつけるんよ。六回、七回を行けるってね。そういうことができるチーム状況が大事やな」
藤川「自分も監督に抜てきしてもらって、水を得た魚のように投げてましたけど(笑)」