ドラ3木浪、圧巻!先制V打&マルチ コイ倒に矢野監督「手応え感じる」
「練習試合、阪神5-0広島」(21日、かりゆしホテルズボールパーク宜野座)
阪神が21日、対外試合初の同一リーグとの対戦となった広島に5-0で快勝した。王者相手に若虎が躍動する中、ひときわ光ったのがドラフト3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ。初回に決勝の2点適時打を放つなど2安打をマークし、定位置獲りへ猛アピールした。その木浪を筆頭に他の若い選手も随所に積極的なプレーを見せ、矢野燿大監督(50)は自身の方針に手応えを感じ取る1勝となった。
打席を重ねるたびに歓声が大きくなる。その期待に応えて快音を響かせる。日焼けするほど強い日差しを、忘れてしまう輝きを放った。木浪がまたもファンの胸を打った。
「『絶対、打つ』と気持ちで(相手に)負けないようにしている」。丁寧でハキハキとした受け答えには初々しさが残る。それでもプレーには新人らしくない貫禄がある。リーグ3連覇中の広島で、ローテ入りを狙う2投手から結果を残した。
初回2死満塁は亜大の先輩、九里と対戦。変化球が2球続いた後の141キロを完璧に捉え、先制の右前2点適時打を放った。三回2死一塁も岡田の147キロに力負けせず、バットを折りながらも右前打を放った。
今キャンプの実戦は全5試合で安打を放っている。ほとんどが初対戦の投手ながら、結果を残してきた。矢野監督は「(初対戦でも)あまり崩れがないよね。対戦していけば、もっといいものが出るというか、そういう期待を持たせてくれる」と対応力に舌を巻く。
守備では中谷のファーストミットを借りて、亜大2年時以来となる一塁に入り、危なげないプレーを見せた木浪。「声はいつでも出せる」と元気でも存在感を示した。指揮官は「(起用法に)悩むね。プラスアルファの部分が多いんで」とうれしい悲鳴を上げた。
競争激化の象徴となっている新人に触発され、王者相手に多くの選手がグラウンドで自分を表現した。植田は八回、慣れない中堅でダイビングキャッチ。大山は七回、左中間を破る打球を放つと、相手の送球が高くなるのを見て三塁を狙った。アウトになったが、相次ぐ積極的なプレーにスタンドは何度も盛り上がった。
昨季、広島には10勝15敗と負け越した。嫌なイメージが残っているが、シーズン開幕前、最初で最後の対戦でも受け身にならず、向かっていった。選手の意識は確実に変わってきている。矢野監督の声ははずんだ。
「みんながやるべきことをやってくれているな、と手応えを感じる試合だった。ベンチで打てなかった後も声を出したり。そういうのが当たり前になっている。広島が相手でも関係ないというのが、定着してきていると思う。みんながいい方向に進むんちゃうかなと思える」。キャンプインから3週間。これまでにない手応えが残る一日となった。