鳥谷大激走 右中間真っ二つで迷わず三塁へ 間一髪アウトも37歳ベテランに大歓声

 3回、鳥谷が適時二塁打を放つ。(投手は・柳)
3枚

 「オープン戦、中日4-2阪神」(24日、北谷公園野球場)

 37歳の挑戦だった。阪神の鳥谷敬が二塁ベースを力強く蹴る。「厳しいと思ったけど、まだオープン戦なので。チャレンジしました」。夢の詰まった一打に、攻めた走塁。戦いはまだ、これから。元気な姿でグラウンドを駆けた。

 スタメン発表時から大きなエールをくれた虎党へ。見せ場を作ったのは三回。1死一塁から上本が二盗を決め、作ってくれた好機に快音で応えた。真ん中低めのカーブをすくい上げると、打球は深々と右中間を破る。「追い込まれていたので。いいところに飛んでくれたと思います」。二走・上本も悠々と本塁生還。オープン戦初安打が初適時打となったが、その足は止まらなかった。

 スピードは落とさない。観衆の目をくぎ付けにし、鳥谷が向かった先は三塁だった。間一髪のタイミングでタッチアウトになったが、球場全体に大歓声が巻き起こる。拍手喝采。過去の実績やプライドを捨て去り、遊撃奪還へと進む鳥谷に温かいエールが送られた。

 ベンチで迎え入れた矢野監督も思わず笑顔に。ベテランが見せた激走に、「すごいよな」と開口一番に驚く。そして言葉を続けた。「無難に止めてもいいところだけどね。ショートにチャレンジしている気持ちが、ああやって足を動かしていると思うから。すごくいいチャレンジだったと思う」

 挑戦の連続だった。プロ16年目の決断。13年間守り続けた“定位置”で勝負したい。その気持ちは真っすぐで、真剣だった。今キャンプ中も、朝5時台に起床。人知れず体を動かしていたという。鳥谷を支えたのは、努力と準備。それでも練習試合ではなかなか結果を出せず、試合後には黙々と一人マシンと向き合い、白球を打ち続ける日も多かった。

 ようやく出た待望の一打。でも表情は変えない。「打席の中で、自分の感覚と合わせていけたらいい」。すぐさま前を向いた。誰も知らない明日へ。鳥谷敬の挑戦はまだ、始まったばかりなのだから。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス