阪神のドラフト１位・近本光司外野手（２４）＝大阪ガス＝と同３位・木浪聖也内野手（２４）＝ホンダ＝が５日、甲子園での全体練習に参加し、シート打撃でともに本拠地“初安打”を放った。春季キャンプ中から実戦で結果を残し、輝きを放ち続けるルーキー２人。昨季、最下位に沈んだチームを変え得る存在として、さらに勢いを増す。

　聖地でも躍動した。タダ者ではない“チカキナ”コンビ。甲子園での“初実戦”となったシート打撃で近本が１安打１盗塁と躍動すれば、木浪は２安打と奮闘した。存在感を発揮し続けるルーキーたちの輝きは衰える気配を見せない。

　無観客のスタンドに甲高い打球音が響き渡った。近本の第２打席。カウント２－１から藤川が投じた５球目、外角１３４キロカットを巧みなバットコントロールで遊撃の頭上へと運んだ。本拠地“初安打”となる左前打。守護神復帰を目指す百戦錬磨の右腕に対し抜群の対応力を見せた。

　さらに真骨頂はここから。続く大山への５球目に鮮やかに二盗を成功。何度かスタートを試みたが断念し、セーフになるタイミングを計った上で企図した。「いまはどんどん失敗してもいい。どこ（タイミング）でいったら悪いのか挑戦しています」。まだ模索状態なだけに、精度向上に励んでいる。

　木浪も負けていない。左腕・岩崎と対戦した１打席目。追い込まれながらもファウルで粘り、５球目の高めに浮いたカーブを捉えた。鋭い打球は中前へ。聖地に初の快音を響かせると、２打席目も島本から左前打をマーク。一般的に不利とされる左対左を苦にせず、結果を残した。

　実戦ではコンスタントに安打を重ねているが慢心は一切無い。「まだ（状態が）いいと思っていない。打席の中での余裕とか。ボールが来るまでの準備をしっかりやってきたい」と課題を口にした。

　猛アピールを続ける２人。矢野監督は「ここまで結果を出してくれているので。やっぱり使いたくなるというところは、どんどんオレらの中では高まっている」と声を弾ませた。最下位のチームに吹き込む新風の勢いは、まだまだ止まらない。