糸井1号!軽々と快幕予行演習ダ~ン 憧れイチロー引退に「神様。グッと来た」
「オープン戦、オリックス3-2阪神」(22日、京セラドーム大阪)
阪神・糸井嘉男外野手(37)が開幕まであと1週間となったオリックス戦の四回、左越えに同点のオープン戦1号ソロ。ヤクルトと戦う開幕戦と同じ球場、同じ時刻で始まった一戦で放った今年初の弾道。サヨナラ負けは喫したが、背番号7が晴れ舞台への道筋を明るく照らした。
しなやかに、そして豪快なスイングで、糸井が白球をスタンドに運んだ。大歓声を全身に浴びながら悠然とベースを一周する。ナイター開催の京セラでマウンドには右腕。29日のヤクルトとの開幕戦同様の舞台で、オープン戦3年連続アーチとなる第1号を放った。
「自分のいいスイングを心がけて打席に入った。いい投手からしっかり打つことができてよかった」
両手に確かな感触が残ったのは、先頭で迎えた四回だ。カウント2-2からの5球目、山岡が投じた外角への147キロ直球を捉えた。フルスイングした打球はグングン伸び、左翼席へ到達。「京セラいいね!」と声を弾ませた一発は、チーム15イニングぶりとなる得点となった。
強引に引っ張るのではなく、コースに逆らわずに逆方向に運んだ本塁打。磨き上げてきた打撃センスが生んだ芸術的なアーチだった。06年に投手から野手に転向した糸井。当時から尊敬してやまなかったのが、イチローだった。オリックス時代の14年シーズンオフには合同自主トレが実現。野球界のトップを走っていた先輩から、さまざまなものを吸収した。
21日に現役に終止符を打った憧れのヒーロー。ロッテとのオープン戦を終えて帰路に就いた夜中は、引退会見に夢中になった。1時間23分。「何日か同じ空間で練習したし、野球選手としての神様。最後は全部会見を見させてもらって、グッと来るものがあった」と野球人として胸を熱くさせ、凜(りん)とした姿を目に焼き付けた。
右膝痛の影響もあり、今季の初実戦は16日の西武戦までズレ込んだ。だが、一切の問題はない。順調に調整を進め、打率は・556と抜群の成績を残している。浜中打撃コーチも称賛する背番号7の対応能力。「逆方向に強い打球をしっかり打てている。ああいうのが打てると、本塁打は1本でも多くなる」と目を細めた。
開幕まで1週間を切った。試合後には「ボディーケアにいってくる」と言った糸井。万全の状態を整え、超人が最高のスタートを切る。