梅野 6打席連続安打!完封リード 攻守で西支えた
「広島0-9阪神」(7日、マツダスタジアム)
笑顔で向かった。足の痛みなど感じない。ヒーローの待つマウンドへ。阪神の梅野隆太郎が一目散に走った。「西さんに、最後まで投げてほしかった」。熱く抱き合うと、ねぎらいながら背中を何度もたたく。大勝の中で、最後の最後にようやく笑った。
気持ちは十分だった。「やるしかない」と覚悟を決め、広島に5日再合流。2日の巨人戦で左足薬指を骨折しており、今もテーピングで固定したまま出場を続けている。この日の練習でも「まだ痛いよ」と笑った。それでも投手を思う情熱が、全力プレーを支えていた。
先制点は、その梅野の足がもぎ取った。三回。先頭で打席に立つと中前にはじき返し、続く西の犠打で二塁へ。得点圏に進み、戦況を見守った。すると2死後、糸原の打球が左前へ。手負いの梅野だが、力強く三塁を蹴った。「先制点が取れれば、ピッチャーも楽になる」。一気に生還。気持ちのこもった先制点に、チームは勢いづく。
四回は2死一、二塁で打席が回った。3球目。内角143キロの直球に詰まったが、打球は二塁と中堅の間へと上がり、二塁・菊池涼も背走で追いついたが、最後はグラブからこぼれた。これで6打席連続安打を記録。追加点を呼び込んだ。
大勝ムードに、ベテランには次々と代走が送られる。それでも梅野は最後までマスクをかぶり続けた。「最後の1球まで完封か、完投か、わからないから」。戦い抜いた3時間12分、受けきった140球。バッテリーとしての勝利に表情も緩む。タテジマ西としての最高の初星…その隣には、梅野がいた。