梅野 サイクル安打達成!5点差はね返した!「こんな日がくるなんて…」
「阪神12-8DeNA」(9日、甲子園球場)
やったぜ梅ちゃん、大逆転勝利-。今季甲子園初戦で阪神・梅野隆太郎捕手(27)が史上69人目のサイクル安打を達成し、最大5点差をひっくり返す聖地初星を導いた。2日の巨人戦で左足薬指を骨折したが、その負傷を感じさせない猛打で首位打者に浮上。勝率5割復帰で今夜も勝つ!
梅ちゃんスマイルがはじけた。4万超の大観衆と最後に大合唱だ。「明日も?」「勝つバイ!!」。勝利の立役者が博多弁のアドリブで盛り上げた。「こんな日が来るなんて…」。梅野が史上69人目となるサイクル安打を達成し、大逆転勝利を演出した。
一瞬、何が起こったのか分からなかった。ただただ、必死だった。サイクル安打に王手をかけていたことにさえ、気づかない。周りをキョロキョロ。花束を受け取ると、虎党の大歓声が大記録を教えてくれた。
左足薬指を骨折している梅野が得点に絡んだ。二回2死一、二塁の先制機で右翼・ソトのグラブを打球がかすめた。2者が生還し、自身は三塁に。一時は失策と表示されたが、攻撃終わりで三塁打に訂正された。快挙の始まりだった。
無我夢中だった。「全てはガルシアのために」-。1点を追う四回には右前打でつなぎ、同点を呼び込んだ。2点ビハインドの八回を先頭で迎えると、パットンの高めに浮いた直球をフルスイング。左中間席へと飛び込む今季1号ソロでチームにさらなる勢いを与えた。
三塁打、単打、本塁打…。残すは二塁打のみ。5点を奪って逆転に成功した八回2死一、二塁。この回2度目の打席へ向かった。本人の思い以上に舞台を整えるスタンド。2球目だった。右中間への二塁打で球団捕手初の偉業を聖地に刻んだ。今季2度目の猛打賞で打率を・433とし、首位打者にも躍り出た。
なんとかして助けたかった。同じユニホームを着たガルシアに出会ったのは、太陽がキラキラ輝く宜野座の2月。初めてバッテリーを組む相手。コミュニケーションを大事にしよう。そんな矢先、助っ人からこんな言葉をかけられたという。
「打たれても、リードとか気にすることないよ。全責任は俺が持つから」
昨季は最下位チームの正捕手としての悔しさを味わった梅野。思いがうれしかった。だからこそ、苦しむガルシアを救いたい…その一心だった。繰り返すのは「バッテリーとして」の言葉。思いは力に変わった。
仲間との絆は、チーム全体へとつながっていく。大逆転の八回終了後。全員がベンチ前でヒーローの帰りを待った。「全員で勝ち取った勝利だと思っています」。うれしさは同じ。一丸でつかんだ本拠地開幕戦の白星。梅野が何度も拳を突き上げた。