近本 逆転V3ラン!九回2死から大仕事で“田淵超え”今季初3連笑で最下位脱出
「DeNA3-5阪神」(25日、横浜スタジアム)
敗戦まであと1死の窮地を、金の卵が歓喜に変えた。阪神・ドラフト1位の近本光司外野手(24)が九回2死一、三塁から、起死回生の逆転4号3ランを放ち、今季初の3連勝&同一カード3連勝を決めた。今季2度目の猛打賞で打率を3割に乗せた背番号5が、黄金週間も打ちまくる。
全神経を研ぎ澄ました。近本の視界に入るのは、マウンド上のDeNA・山崎のみ。サイン交換から、じらすかのように待たされた8秒間にも動じなかった。迷いのないスイングに放たれた白球は、大歓声と悲鳴が飛び交う横浜の夜空を切り裂いた。起死回生の逆転4号3ラン。チームを救い、同期の心も救った。
1点ビハインドの九回。四球と敵失で整った無死一、二塁の反撃チャンス。この勢いのまま好機拡大を狙ったが、木浪がスリーバント失敗。続く鳥谷も左飛。2死一、三塁となって、近本に打席が巡ってきた。
敗戦まであと1死。このまま終わるわけにはいかない。「聖也(木浪)の分も自分がカバーしようと思っていた」と闘志を燃やして向かった第5打席。初球、外角高めの直球148キロをファウルにしてタイミングを計った。修正した2球目。同じコース、同じ球速の真っすぐを強振。鋭く振り抜かれた打球は、左翼席へ突き刺さった。
守護神登場で勝利のムードが漂っていたスタジアムの空気を一変させた逆転弾。新人が4月終了までに4本塁打を放ったのは2リーグ分立後では球団史上初めてで、これまで最多だった1969年の田淵幸一の3本塁打を上回った。
ここぞの場面で勝負強さを発揮したルーキー。それは生まれ持ったものだ。宜野座での春季キャンプ休日。妻・未夢さんのために琉球グラスを購入した際、1枚の券を手渡された。挑戦できるのは、並んだガラスコップにピンポン球を入れればもう1つもらえるというゲーム。チャンスは1球。「入れます」と宣言したボールは、吸い込まれるようにワンバウンドで収まった。
初回に7試合連続安打となる中前打、三回には左中間へ二塁打を放つなど、3打数3安打2四球の全打席出塁。今季2度目の猛打賞で打率を・313へと押し上げた。チームを今季初の3連勝へと導き、最下位を脱出。試合後も高揚感は消えなかった。「あさってから12連戦が続くので。チーム全体で頑張っていきます」。初のヒーローインタビューで満面の笑みを浮かべ、歓声に応えた頼もしい言葉。黄金ルーキーの背中は、日に日に大きくなっている。