糸井300二塁打達成 301二塁打はV打「神様、抜けてくれ」祈り通じた

 「中日2-4阪神」(28日、ナゴヤドーム)

 超人の一振りが勝利を導いた。阪神・糸井嘉男外野手(37)が2-2の七回に右翼線へ決勝の2点適時二塁打を放った。一回にはプロ野球71人目となる通算300二塁打をマーク。この試合前まで11打席無安打と沈黙していた男が2本の二塁打で輝きを取り戻した。チームは前日の敗戦で連勝が止まったが、この日の勝利で仕切り直し。平成から令和へ、再び連勝街道へ走りだす。

 チームが苦しい時こそ、本領を発揮する。糸井の意地と執念を乗せた白球が、試合を決めた。「神様、抜けてくれと祈りながら走りました」。決勝打は祈りを込めた通算301本目となる二塁打。大歓声を背に受けながら、二塁ベース上で高々と右拳を突き上げた。

 チームにとって大きな1本だった。同点の七回1死二、三塁。打席の中で集中力はMAXに達していた。2番手・田島の投じた1ストライクからの2球目。低めに落ちる鋭いフォークに反応した。鋭い打球は一塁・ビシエドのグラブをはじき、右翼線へ。打球が転々とする間に三走・植田に続き二走・近本も生還し、2点の勝ち越しに成功した。

 節目の一打で本来の打撃を取り戻した。11打席快音がなく迎えた初回2死走者なしの第1打席。フルカウントから柳の136キロ変化球を捉えると、打球は中堅フェンスを直撃した。豪快な当たりで史上71人目となる通算300二塁打を達成。「勝ててよかった」と記念打よりも、さらなる快挙へと歩み出した一打に納得の表情を浮かべた。

 入団3年目に投手から野手に転向した糸井。日本ハム在籍時に1軍外野守備・走塁コーチを務めていた清水ヘッドは「野手に転向した2、3年目からずっと見ているので。そんなに打ったのかと。今日は決勝打も打ってくれているので、うれしいね」と感慨深げだった。

 磨き上げてきた打撃センスは球界随一だ。バットコントロールやパワー、スイングスピード…。目に見える一流技術は数多くあるが、侍ジャパンの4番候補でもあるオリックスの若き主砲・吉田正が驚くのは「選球眼」だ。「難しい球はファウルにして、打つべき球を待つ能力がすごいんです」。打撃の師と仰ぎ、自ら申し出てオフは自主トレを共にする。生きた教材として糸井を見習い、「6年連続の3割ってそれはまぐれではなかなか打てない。技術がなければ絶対に打てないですから」と感服している。

 チームは借金を3に戻した。「どんどん上を目指してやっているので」と糸井。平成も残り2試合。新元号に変わっても、背番号「7」の頼もしさは変わらない。

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