矢野監督 福留サヨナラ弾で大興奮「盛り上がったやろ~どうやねん!?」
「阪神7-5DeNA」(5日、甲子園球場)
無我夢中だった。阪神の福留のサヨナラ弾が右翼席ではずむ。矢野監督はベンチを飛び出し、選手の背中を追った。目の前には歓喜の輪。選手の笑顔が心を揺さぶった。
「いやあ…。すごかった。本当にね」
劣勢をはね返したミラクル逆転勝利。会見場でも興奮が冷めない。「盛り上がったやろ~。どうやねん!?」。選手の底力に感動し、声は上ずった。
序盤からDeNAに主導権を握られた。二回は木浪、大山の連続失策と、木浪の野選で先制点を与えた。
同点の五回1死一、二塁は、糸井が右前打にチャージ。捕球直前に打球が跳ねてはじく失策となり、勝ち越し点を許した。
9回の試合では5年ぶりの1試合4失策で、五回終了時点で2-5。「流れが向こうに行きかけてたよね、完全に。3点差ついて」と指揮官。そのまま敗戦しそうな展開を全員でひっくり返した。
五回途中からリリーフした守屋は1回2/3を無失点。七回も島本が無失点でつないだ。「(流れを)引き戻したのが守屋とか、シマ(島本)というのももちろんある」。若手救援陣の踏ん張りに野手が応える。途中出場の代打・北條は、六回2死一、三塁で1点差に迫る左前適時打。守備では梅野が何度もワンバウンドを止めた。
矢野監督は誰も諦めなかった姿勢に目を細めた。「追いついて追い越せたのは、1人の力ではない。みんな(の貢献)がないと勝てないんでね。そういう意味でも大きい」。成長途上のチームに無形の力を感じ取った。
こどもの日は5年連続勝利。方針の3本柱の1つに「誰かを喜ばせる」を掲げる指揮官にとっては、劇的な展開は喜びを増幅させた。「子どもたちも一生忘れない思い出になったと思う。毎日毎日、そういう思いで戦っていきたい」。今季2度目の同一カード3連勝で、3月30日以来で今季最多タイの貯金2とした。首位・巨人とは2ゲーム差。4月23日の単独最下位から2週間足らずで、首位まで視界に捉えた。