「ヤクルト４－２阪神」（６日、神宮球場）　

　フルスイングから飛び出した鋭い打球が周囲の心配を一蹴した。前日５日のＤｅＮＡ戦で「背中の強い張り」を訴え、途中交代したドラフト１位・近本（大阪ガス）。チームにとって欠かせない存在となっている虎の切り込み隊長は、「１番・中堅」で強行出場し、２試合連続の快音を奏で万全を示した。

　「しっかり野球ができるということを見せることができたと思います」

　迎えた４点ビハインドの六回。この試合唯一となる得点の起点となった。「流れ的に先頭だったので、何とかして塁に出られたらと思っていました。出塁できてよかったです」。ブキャナンの初球、セーフティーバントを試みるもファウルに。１ボール２ストライクからの４球目、内角寄りのカットボールに、肘をたたみながら打ち返して三遊間を破った。

　五回までゼロに抑えられていた相手先発・ブキャナンのリズムを崩す一打。「セーフティーの構えをしたりして何とかして塁に出られたらと思っていたので。出塁できてよかった」。患部を気にする様子はなく、１番打者としての仕事を全うして大山の犠飛へとつなげた。

　試合前練習では、フルメニューをこなして患部の状態を確認。矢野監督に「大丈夫です」と伝え、先発出場した。指揮官は「１００％でいけるというか、そういう状態ではないんだけど。１年間やる中で、俺らは万全の状態でいける時ばっかりじゃないし。その中で１本出たとか、何か気にしているって姿は見えなかったんで」とうなずいた。今後も状態を見ながら起用する考えだ。

　「今日はチームが勝てなかったので、（これからも）最善を尽くしてしっかり準備したい」。試合後はチーム宿舎で治療を受けた近本。チームの勝利に貢献するために稼働し続ける。