西 竜倒ショー!聖地初被弾も要所締め7回3失点3勝目
「阪神7-3中日」(10日、甲子園球場)
ゲームセットと同時に、阪神の西はベンチを飛び出して大きく手をたたいた。カクテル光線が、勝利の味をかみしめる右腕の笑顔を一層、引き立てる。「全体的に調子は悪かった」と振り返ったが、期待と責任を背負って腕を振り続けた。7回7安打3失点。要所を締める粘投で今季3勝目をつかんだ。
二回、1死一塁から6番・高橋に先制2ランを浴びた。甲子園通算8度目の登板で初被弾。先頭のビシエドに5球目を投じた際、フォームのバランスを崩し左足を気にする場面もあった。慌ててベンチから福原投手コーチらがマウンドへ向かい影響が危惧されたが、後続を断った。
その裏の攻撃では、2死走者無しから三塁線を破る安打を放って逆転劇を演出。お立ち台では「振ったら当たりました」と笑ったが「守備もバッティングも、微力ながら貢献したいと常に思っている」と胸を張った。三回以降は安定感を取り戻し、初めて連打を浴びた七回も無死一、三塁のピンチを併殺打間の1点で食い止めた。
調子が悪い中でも試合を作る、若手の手本となる96球。後輩への助言はグラウンド外でも惜しまない。中継ぎとして1軍に定着している守屋には、魚の白身や豆腐を摂取するようにアドバイス。「1日で食べる量を決めるとストレスになるから、1週間で食べる量を決めればいい」。経験豊富な右腕の言葉は、1軍経験が少ない若手の一助になっている。
矢野監督も「本当に西らしい投球。いつもムードというか流れを作ってくれる」と称賛を惜しまない。「みんな一丸となって戦っていけば、強いチームになれると思う」と力を込め、二回に気にするそぶりを見せた左足については「しっかりケアします」とだけ言った。上昇気流に乗る猛虎の中心には、頼もしい背番号16がいる。