6戦ぶり甲子宴 梅ちゃんラッキーV打で連敗ストップ 二回の落球取り返した
「阪神3-2ヤクルト」(21日、甲子園球場)
久々の六甲おろしが心地いい!阪神が接戦を制し、甲子園での連敗を5でストップ。立役者は梅野隆太郎捕手(27)だ。1-1の四回、三塁ベースに打球が当たるラッキーな一打で勝ち越しに成功。二回の守備で一塁からの送球を落とし、同点に追いつかれたプレーをバットで取り返した。チームは貯金1とし、単独3位。ここから白星を積み重ね、さらに上を目指す。
そっと、温かい手が添えられた。よくやった、よく勝ちきった。梅野が無邪気に笑う。「明日も勝つばい!!」。仲間の笑顔に導かれるように、思わず声を張り上げた。胸に宿る信頼と自信。うれしさがこみ上げた。
打って、守って、走る。好不調の波がある中で、自分に何ができるのか。4月中旬から主に任されるようになった中軸の6番。ベテラン・福留のすぐ後を打つという重要なポジションを背負い、梅野はいつも考えていた。
仕事を果たした1勝に、思わず笑顔がこぼれた。二回の守備で川端のゴロを処理したマルテの本塁送球が三塁側に逸れ、必死に捕球した梅野が三走・雄平と激突。ミットから白球がこぼれ、同点に追いつかれた(記録は梅野の失策)。そして迎えた四回。福留がフェンス直撃の二塁打を放ち、一振りでチャンスメークに成功した。ベテランからつないだバトン。落とすわけにはいかなかった。
梅野が内角を厳しく突いたシュートをはじき返す。思いを白球に乗せる。「当たれ-」。願いを込めて懸命に走り出すと、祈りが通じたかのように打球が三塁ベースに直撃した。左翼前にボールは転々とし、「ツキが変わってきたのかな」と笑うラッキーな二塁打で、決勝点を呼び込んだ。
1分、1秒ごとに移ろいゆく戦況。そして流れ。正捕手として扇の要を任され、四六時中考えるようになったのはチーム全体のことだった。先月の名古屋遠征で福留と食事に出掛ける機会があった。そこで言われた言葉が、胸に残っているという。
「今どうするべきか。考えて打てるようになった。チームのために、動けるようになったなぁ」
無我夢中に歩んできた5年間を終え、ついに正捕手として台頭。扇の要として全体を見渡す余裕が徐々にでき始め、そんな中でかけられたねぎらいの言葉。そのうれしさは、力に変わった。
勝利のハイタッチへ。矢野監督もヒーローの右手に、そっと自身の左手を添えた。「リュウ(梅野)に任せているからね」。連敗を阻止した試合で、打率・389と好結果を残すなど、今や梅野の打撃はチームに欠かせない武器となる。貯金1で3連敗ストップ。梅野が控えめに見せたガッツポーズが、チームを単独3位に導いた。