梅野 号砲で一挙7点!二回打者12人ガッツリ8安打!対広島6連敗で止めた
「広島5-7阪神」(2日、マツダスタジアム)
猛虎打線が驚異の集中打で王者をのみ込んだ。圧巻の攻撃は二回。先頭の阪神・梅野隆太郎捕手(27)がバックスクリーンへ先制のアーチを放り込むと、これを合図とばかりに一気呵成(かせい)に襲い掛かった。打者12人の猛攻で、今季最多の1イニング7得点。2点差まで詰め寄られたが、鉄壁の継投で逃げ切り、広島戦の連敗は6でストップ。交流戦前の最後の試合を白星で締めた。
狙い澄ました白球がゆっくりと、バックスクリーンに消えた。今季4号の先制アーチが決勝打。連敗中のチームに流れを呼び、広島戦の連敗を6で止めた殊勲打。梅野が決めた。本塁打を打てば今季4戦4勝。昨季から9連勝と、負け知らずの神話弾から、1イニング7得点が生まれた。
勝敗を分けた二回の攻撃。梅野は先頭で打席に立った。広島の先発はアドゥワ。今季1勝1敗ながら、チームとして対戦打率・186、自身も5打数無安打に抑えられていた。初回の好機を逃し、嫌な雰囲気が漂い始めた直後。2-0から3球目を狙う。捕手の読みが生んだアーチだ。
「ボールが先行していたんで、真っすぐ一本に絞って。なかなか打てていなかった投手。思い切っていった」
5月22日のヤクルト戦以来9試合、39打席ぶりの一発。「完璧だった」と自賛の本塁打から、打線が面白いようにつながる。1死二、三塁から、近本の右前適時打で2点を追加。大山、マルテにもタイムリーが出ると、この回2度目の打席となった梅野は2死二塁から右前打。続く高山の右前適時打につなぎ、この回打者12人、8安打の猛攻で今季最多の1イニング7得点だ。
打席同様、リードも強気に攻めた。六回、2点差に迫られ、なおも2死一、二塁で4番・鈴木。救援した守屋を鼓舞するように、2ストライクからの直球勝負。外角の148キロで見逃し三振に抑えた。「元々、強気な投手。一番いい球を選択しました。感謝しています」。背景には矢野監督の一言があった。
17年6月23日の広島戦だ。2番手で登板した柳瀬が、3被弾を含む1イニング8失点KO。後日、当時は作戦兼バッテリーコーチだった指揮官に岡崎、坂本らと食事に誘われた。「捕手が出すサインには人の人生が懸かっている。投手だけじゃない。家族もそう。いろんなものを背負ってあの場所にいるんや」。求められたのは覚悟。勝敗だけじゃなくチームを背負う覚悟だ。
今季5度目の猛打賞。骨が折れてもグラウンドに立ち、結果を残してきた。「もうベストな状態」と不安もない。4日から始まる交流戦に向けたGO砲。攻守に梅野がキーマンになる。「優勝に向かって1試合、1試合、勝ち抜きたい」。秋の美酒を心に誓いながら打って、守って、チームを勝利に導いていく。