矢野監督「結果勝ちやろ」九回あと1人追いつかれるも…延長十二回無死三塁しのいだ
「交流戦、ソフトバンク2-2阪神」(11日、ヤフオクドーム)
絶体絶命のピンチを切り抜け、負けなかった。阪神は勝利の権利がなくなった延長十二回の守りで、守護神のラファエル・ドリス投手(31)が自身のミスで無死三塁としてしまったが、そこから踏ん張り無失点。今季3度目の引き分けに持ち込んだ。矢野燿大監督(50)は「勝ったことにして」と前向きに捉え、次戦へ気持ちを切り替えた。
果たして勝てなかったのか、負けなかったのか-。4時間42分の激闘後に残った何とも言えない虎党の思いを、矢野監督がすぐに明確にしてみせた。
「結果、勝ちやろ。もう、これは。そう思うわ。そう思うことにする」。指揮官が自分に言い聞かせるようにうなずいた。
勝利がなくなった延長十二回裏の攻防だ。先頭のソフトバンク・グラシアルが遊撃への内野安打で出塁する。ここでドリスが一塁へけん制悪送球を犯し、一走の代走・川瀬が二塁へ。虎の守護神はマウンド上で思わず頭を抱えた。さらに真砂への3球目に暴投。無死三塁という絶体絶命とも言える場面を迎える。
「ミス、ミスでノーアウト三塁でしょ。ランナーを埋めるかとかも考えたけど…。勝負にいくことにして結果、ドリスが抑えてくれた」。真砂を空振り三振、松田宣を前進守備での遊ゴロ、そして明石を左飛で、指揮官の言う“価値ある”引き分けに持ち込んだ。
2年連続日本一の王者相手に序盤から仕掛けた。四回に高山の適時打で先制し、なおも1死一、三塁の場面。ここで今季初、矢野政権初のスクイズが決まった。殊勲の北條が「サインを見落とさず、一発で決められたので良かった」と胸を張れば、「ソツなくというか、無駄なくというか。いい形で点が取れた」と虎将も納得の表情で振り返る。
一方で十二回表の2死満塁の絶好機に空振り三振に終わった大山には苦言も呈した。「あれだけ相手が苦しい状況で振っていってっていうのをやるべきだと思う。4番なんで決めるという気持ちで行ってたと思うんだけど、結果的にそうなってしまうとね」と、ストライクの直球を2球見逃して追い込まれた末の凡退を惜しんだ。
「負けなかったことはプラスに考えたい。点を取れなかったところは反省して次頑張りたい」。清水ヘッドコーチが、この日の試合を総括するかのように言った。矢野阪神らしく常に前向きに-。「勝ったと思って明日から戦いたい」の監督の言葉通り、あくまでもプラス思考で次の試合に向かっていく。