ドラ1・近本に光差す6号 23打席ぶり安打で矢野監督我慢の起用に応えた
「交流戦、阪神3-5楽天」(18日、倉敷マスカットスタジアム)
苦しみ続けた男の背中に一筋の光が差した。阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24)=大阪ガス=が三回、一時勝ち越しとなる6号ソロを右翼席に運んだ。実に5試合、23打席ぶりの安打。チームは引き分けを挟んだ4連敗を喫し、自身も4打数1安打で完全復活と呼ぶにはまだ早いが、この一打をきっかけに浮上をたどる。
両手に残る感触が心地いい。弾丸ライナーで伸びた打球は、瞬く間に虎党の待つ右翼席に到達した。自己ワーストの22打席連続無安打から脱却した近本。敗戦の中で、虎の切り込み隊長が長いトンネルを抜け出したのは、チームにとって大きな光となった。
「自分の気持ちだけなので。チームに貢献できるようにとやっている。結果的に貢献できたのはよかった」
23打席ぶりの快音を奏でたのは、先頭で迎えた同点の三回だ。カウント2-2から左腕・塩見が投じた8球目、内角低めの119キロスライダーに反応。体を鋭く回転させて完璧に捉えた。一時勝ち越しとなる6号ソロ。社高の2学年後輩・辰己の前で、先輩の意地を見せた。
この試合前まで直近10試合で打率・067と苦戦。不振から抜け出そうと必死にもがいていた。「原因は自分のどこかにある」と試合後には打てなかった打席を見返し、問題点を追求。その中で復調へ大きく前進する一発を放った。
最高の結果にこのまま復調へ-と期待は集まったが、そう簡単にはいかなかった。続く、五回の第3打席は空振り三振。同点の七回には、2死二塁と一打勝ち越しの好機で迎えたものの、3番手・ハーマンが投じた内角へのカーブにバットが空を斬り、チャンスを生かすことはできなかった。
矢野監督は「追い込まれていたけど、パンチ力があるというところを見せてくれた」と本塁打を評価。続けて「何回も出塁するというのが、相手の一番嫌がるところなんで。近本らしさをね。この1本をきっかけに行ってくれたらいいと思います」と、チャンスメーカーとして出塁することに期待を寄せた。
交流戦前は3割台だった打率は・278まで落ち込んだ。同じ轍(てつ)は踏まない。「打ててないからといって、個人プレーに走ってはダメなので。これからもチームのために貢献できるようにやっていきたい」と近本。リードオフマンとして勝機を呼び込むため、ここから巻き返す。
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