ジョンソン不在が響いた交流戦…後半戦の巻き返しは近本&中継ぎ陣次第

 戦前5つあった貯金を1つにまで減らし、矢野阪神のセ・パ交流戦が幕を閉じた。13日のソフトバンク3回戦から20日の楽天3回戦にかけて、引き分けを挟んで今季ワーストの6連敗。すべて七回以降の決着で、2軍調整中のジョンソン不在が響いた格好だった。首位巨人が抜け出し、下からは4位・DeNAが不気味に接近。29日から再開される後半のリーグ戦を前に、虎のレジェンドOB・小山正明氏が今後を占った。

  ◇   ◇

 また今年も“鬼門”だった。最下位に沈んだ昨年、貯金3を持って交流戦に入りながら、6勝12敗と崩れて逆に3つの借金を抱えてしまった。その二の舞は避けたかった今年だったが、終盤に来て痛恨の6連敗。特に、パ首位の楽天に全て接戦を落としての3連敗が痛かったが、交流戦最後のカードとなった西武戦で連敗を止め、5カードぶりに勝ち越した。最後こそ敗れて6勝10敗2分の成績だったが、何とか貯金を1つ残してフィニッシュできた。終盤泥沼の6連敗を思えば、ともかくヨシ、とすべきか。

 交流戦総括と29日から再開するリーグ戦、その後の話を聞こうと、おなじみの阪神OB・小山正明氏の携帯を鳴らした。4つの負け越しで終わったことで、さぞご立腹と思いきや、意外にも「まずまずちゃうか」と肯定的な捉え方をしていた。19日の楽天2回戦(甲子園)を一緒にテレビ観戦した際も、「きょうは勝つよ」「梅ちゃんが打ってくれるわ」などと、常に前向きな話をしていたレジェンド。この3週間の戦いぶりは、多少の不満を抱きつつも、貯金を残したことに意義を見い出したようだ。

 -交流戦6勝10敗2分で4つの負け越し、という結果をどう見ますか。貯金が残ったことでヨシ、とすべきでしょうか?

 「欲を言えばキリがないけど、とにかく勝率5割以上をキープしとったらええんやから、とりあえずはヨシ、やろう。確かに途中6連敗があったけど、最後の西武戦は何とか勝ち越せたしね」

 -21日の西武2回戦(甲子園)では、これまで好投しながら勝ちにつながらなかった岩田が2勝目を挙げました。彼を含め、先発はそこそこ踏ん張っていましたが…。

 「ずっと先発陣はゲームを作ってるんやで。岩田もそうやし、西、高橋遙、メッセも復調気配があるしね。青柳とガルシアは投げてみんとわからんけど…。西なんて本当に打線の巡り合わせが悪い。もう少し打線が打ってやってればもっと勝ち星は増えとるはずや」

 -6連敗のすべてが先発が降りた後、勝ち越しを許すか、逆転されたものでした。2軍調整中のジョンソン不在が少なからず響いた感じです。

 「その通りや。八回をほぼ完ぺきに抑え、ドリスにつないできた彼がいなくなって、その1イニングが抑え切れんようになった。球児や能見、守屋、島本らで何とかしのいでいたが、6連敗中のオリックス、そして楽天戦は辛抱できんかった。楽天戦で2試合連続負け投手になった守屋がその象徴やろうね」

 交流戦当初に“蓄積疲労”を考慮したリフレッシュ調整に入った新助っ人・ジョンソン。落差のある“パワーカーブ”を多投してきた負担が右肘に大きくかかっていたようだが、ここにきて状態が上がってきた。リーグ戦再開の29日・中日10回戦(ナゴド)から1軍に昇格するが、小山氏も「少しの不安でもあったら無理させるべきやないけど、上げるとなれば普通に戻ったと考えていい。彼が入って好調時の姿を見せてくれれば、またチームに勢いがつくと思う」と期待感を表す。

 -6連敗中は極度の不振にあえいだルーキー・近本は、交流戦最後の23日・西武3回戦も無安打でフィニッシュ。彼が出塁するだけで他球団は相当嫌がるのに、今一つ出塁率が悪い。

 「僕は常にクリーンアップのことを言うてきたが、彼らを生かすも殺すも先頭の近本次第。21日の西武2回戦で安打後に二盗、三盗を決めて糸井の適時打を誘発したように、安定して出塁できるようになれば、自慢の足でかき回すことができる。近本の売りは積極性やと思うけど、粘って四球を取れるすべも身につけてほしい。ともかく、彼の長所を生かせる状態に戻ってほしいなぁ」

 -投手ではジョンソン、打者では近本。彼らがリーグ戦再開後のキーマンですか。ところで、他球団の状況はどう見ています?

 「巨人が頭二つぐらい出た感じやけど、まだどこか頼りない。広島は5月の反動が完全にきとるね。下位球団ではDeNAが投打のバランスがよくなってるんで要注意やな。中日とヤクルトはあれだけ借金を背負ったらなかなか抜け出すのは難しい」

 -個人的にはやっぱりDeNAが怖いですね。阪神は対戦成績はいいですけど、勢いが付いたらあの打線は脅威。現時点(24日)の2差なんか、すぐ逆転されてしまいますよ。できれば下に沈んでいてほしい…。

 「確かに打線はリーグでも屈指。ソト、筒香、宮崎、ロペスの4人が好調なら手に負えん。投手も今永、東、濱口の左腕トリオは力がある。そやけど肝心なところでミスもあるんで、阪神の投手陣が踏ん張って接戦に持ち込めば、そんなに心配はないと思うで」

 上にいる巨人、広島をにらみつつ、下から追ってくるDeNAにも注意を払わないといけない後半戦。そこで小山氏が苦言を一つ。「とにかく軽率なミスをなくすべし、や。選手個々がそれを胸に秘めてやってもらいたいね」。リーグ最多の失策数は以前も指摘した通りで、今も矢野阪神を苦しめているのだが、これを減らせば確実に黒星も減らせられる。ともかく、身の丈に合った野球で勝率5割をキープ-。まだまだ、上も下も見る必要は、ない。(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)

【販売局インフォメーション】

 ★阪神タイガースは29日の中日戦(ナゴド)まで5日間試合なし。その間、デイリースポーツでは様々な虎企画を紙面掲載していきます。デイリースポーツ評論家・狩野恵輔氏が、開幕から4番を張り続ける大山を直撃インタビュー。その他、ドラ1ルーキー・近本の高校時代の秘話や本紙評論家による技術分析など読み応えたっぷり。阪神戦がなくてもデイリーでお楽しみ下さい!!

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