伝説弾、原口2戦連発 掛布、バース、アリアスに続く虎4人目 聖地の宴、最高潮
「マイナビオールスターゲーム・第2戦、全セ11-3全パ」(13日、甲子園球場)
球宴第2戦が甲子園球場で行われ、大腸がんの手術から復帰した阪神の原口文仁捕手(27)が「7番・指名打者」で先発出場。第1戦での代打2ランに続き、2試合連発となるソロ本塁打を放った。2-0の二回先頭で左翼席へ運び、虎の本拠地甲子園は大歓声に包まれた。
過ぎていく時間をかみしめるように、試合後の原口は言葉を紡いだ。「野球を始めた時のような、原点に戻れたような2日間でした」。代打本塁打から一夜明け、迎えた第2戦。本拠地・甲子園でまたもや原口がファンに感動を与えた。
降りしきる雨を切り裂く強烈な打球に、満員のスタンドがどよめいた。「まさか打てると思っていなかった。打球が飛んだ瞬間、入ると思いました」。先頭で迎えた二回の第1打席。西武・高橋光の5球目、146キロの直球を仕留めた。左翼へのソロで、球宴2試合連発を達成。阪神選手では03年アリアス以来4人目の快挙だ。
ヘルメットを雨でびしょぬれにしながらダイヤモンドを一周。スタンドから注がれる拍手が胸に染みる。「つくづく運がいいなと思っています」。野球の神様に愛された男が、夢舞台でまばゆい輝きを放った。
一流選手が集う空間、他球団のファンも声援を送ってくれる環境に、大腸がんから復活を目指した日々がよみがえる。「たくさんの方にファンレターやメッセージを頂いた。(歓声も)僕の耳に入ってくるぐらい聞こえていた」。結果を出さなければならない使命があった。
帝京高の1学年後輩にあたるDeNA・山崎も、原口の歩みに心を打たれた一人だ。前夜、東京ドームの浴場で一緒になり「高校以来だね」と先輩から声をかけられたという。「苦労した姿は知っていたので。そういう中で打って、一目置かれる存在だなと思いました」と山崎。折れない心と野球への情熱があるから、後輩に慕われ、周囲を感動の渦に巻き込める。
試合後の表彰式では「マイナビ賞」と「Twitter賞」を受賞。前日の敢闘賞と合わせ、計300万円を獲得。使い道は1歳になった愛娘のミルク代などにあて「これから大きくなるのでたくさん買ってあげたい」と、父親としての顔ものぞかせた。
大病を患いながらも、まるでドラマのような復活劇。「たくさんの人にたくさんのことを感じてもらいたい」。夢舞台で培った経験を糧に、後半戦へ挑む。