近本、神がかりMVP 先頭弾、サイクル、5安打 “アメ”ージング甲子園
「マイナビオールスターゲーム・第2戦、全セ11-3全パ」(13日、甲子園球場)
第2戦が甲子園球場で行われ、全セが阪神勢の一発攻勢などで大勝。3年ぶりの白星で連敗を5で止めた。阪神・近本光司外野手(24)が、初回先頭打者本塁打を含む球宴史上2人目のサイクル安打を達成。MVPに選ばれた。二回には原口文仁捕手(27)、梅野隆太郎捕手(28)の2者連続本塁打が飛び出す“虎祭り”となった。
万雷の拍手が聖地に降り注ぐ。主役は、初の夢舞台で猛虎史上初のサイクル安打を達成した近本。歴史的快挙を目の当たりにしたセ・パ両リーグのファンが快挙に胸を打たれ、うねりのような大歓声を響かせて聖地を包み込んだ。
「うれしいというか、(ファンの方に)楽しんでもらえてよかった」
記録尽くしとなった第2戦。期待に応えようと、懸命なプレーが最高の形に結び付いた。まずは初回。1ストライクから山岡が投じた2球目の直球を完璧に捉えた。打球は左中間席へと消える球団史上初の先頭打者アーチ。会心の一撃が“近本劇場”の幕開けを告げた。
二回に右翼線を破る二塁打、三回に右前打を放ち、早々と偉業にリーチをかけた。期待が高まる五回にはあと一歩及ばずの左中間への二塁打。迎えた七回の第5打席、再びのチャンスにスタンドのボルテージは最高潮に達した。高橋礼の直球を捉えた鋭い打球が左翼・吉田正の頭上を越え、フェンスに到達。一気に二塁を蹴り、三塁を陥れた。
人生初のサイクル安打は1992年のヤクルト・古田以来、球宴史上2人目の快挙。5安打は2001年のヤクルト・ペタジーニに並ぶタイ記録だ。地元・淡路島から応援に駆けつけた両親や親戚へ最高のプレゼントを届けた。「一番いい恩返しができた。ここまで支えてくれたので。(記念球は)親に渡します」とほほ笑んだ。
スタンドで見届けた父・恵照さんも「全部ウソみたい。夢のよう」と息子の輝く姿に声を震わせる。母・美晴さんも「社会人だった1年前では、考えられない感じです。皆さんの応援のおかげでここまでやってこられている。一流選手から得たものを生かして、これからも長く活躍してほしい」と目を潤ませた。
ファンを魅了し、球史に名を刻んだ2時間45分。「めちゃくちゃ楽しかった。いろんな人に話を聞いて勉強にもなりましたし。100点じゃないですか」と近本。次世代の猛虎を支えていく選手へと成長していく。