マルテ300万円弾 ソラーテ合流に刺激!バックスクリーンへ8号
「阪神6-6DeNA」(23日、甲子園球場)
勝てなかった悔しさを押し殺し、阪神のジェフリー・マルテ内野手は前を向いた。引き分けに終わった重苦しい空気が、クラブハウスへと続く通路に充満する。「どちらもチャンスがありながら、勝ち切ることができなかった」。3安打1打点の活躍にも、笑顔はなかった。
ただ一時、試合をひっくり返すことができたのは助っ人の一発があったからかもしれない。3点を追う七回、先頭で迎えた第3打席だ。3番手・三嶋が外角高めに投じた初球の149キロを力強く捉えた。「何とか得点に絡みたかった」との思いで振り抜いた打球は、きれいな放物線を描いてバックスクリーンに飛び込んだ。
今季、バックスクリーンへ本塁打を打った阪神の選手には『イワタニ バックスクリーンホームラン賞』として岩谷産業から300万円が贈呈される。七回表に一挙5点を失った直後の一発。値千金のアーチが再び一塁側へ流れを引き寄せた。
この日、新外国人のソラーテが試合前練習に合流した。「チームの助けになる選手が来てくれた。早く一緒にプレーしたいし、二人で一緒にやることがチームのためにもなると思う」と共闘を誓ったマルテ。「変わることなく自分のルーティンを続けていった方がいい」と助言し、新たな仲間を歓迎した。
八回は内野安打で好機を拡大させ、先頭で迎えた延長十回は左前打で出塁。矢野監督も「よくつないでくれてチャンスにもなったし、いいホームランもあったので」と目尻を下げた。
マルテが本塁打を放てば、チームは8戦負けなしという“不敗神話”は継続。「負けなかったけど勝てなかったので」と言葉を絞り出した背番号31。献身的な姿勢でチームを支え、球場の雰囲気を一変させる一打で猛虎を浮上させる。