藤浪「いい顔」で投げたい 8・1今季初先発!2軍8戦で防御率1・88
開幕から2軍調整を続けてきた阪神・藤浪晋太郎投手(25)が29日、兵庫県西宮市の甲子園球場で投手指名練習に参加した。3月に再調整となって降格して以降、1軍本隊に合流するのは初。8月1日・中日戦(甲子園)で今季初先発することも決まった。現在、首位巨人とは8・5差の4位。再浮上の“ラストピース”が、真夏の8月戦線を熱くさせる。
長かったのか、短かったのか。5カ月弱の“空白”に、まだ答えはない。だからこそ、藤浪は湧き上がるはずの感情を、あえて伏せるように言葉にした。「力みも高揚感もない。遅かったなという落胆もないです」。今季初先発を前にした1軍合流。右腕の2019年はまだ始まる前だ。
「もっと早い時期に(1軍に)とは思っていました。それからすれば遅いですが、別にそれ以上に大事なことがあると思い、課題と向き合ってきました」
淡々と、少し口早に思いを明かした。7年目にして初めて開幕を2軍で迎えた1年。3月12日・中日とのオープン戦で4回を無安打1失点。4四死球と苦しんだ内容に「正直、自分自身にガッカリした」と2軍で再スタートを決意し、自ら矢野監督に申し出た。
降格後は2軍首脳陣に「時間をください」と頭を下げ、模索を続ける毎日だった。「結局、やることは技術練習。じっくりとやらせていただいた。いい時間をもらいました」。小手先で、ごまかしながら1軍にしがみ付くのも選択肢の1つだった。だが、自身に対する失望、焦り…負の感情を全て受け入れ、再び輝くために一から自分と向き合った。
ここから2カ月以上の調整期間を空けて、5月18日のウエスタン・広島戦で67日ぶりに実戦登板。今月26日の同・中日戦では、今季初めて甲子園のマウンドに上がり、打席にも立って6回2失点、5奪三振と好投。ここまで2軍戦8試合の登板で1勝3敗ながら、防御率は1・88と安定した成績を残した。結果で勝ち取った1軍昇格。矢野監督も背中を押す。
「いい顔で、久しぶりに帰ってくる甲子園のマウンドでね。俺は一番大事かなと思う」
今季初先発となる8月1日の中日戦。同日は、甲子園球場誕生95周年のメモリアルデーでもある。新たなる1日に、甲子園の申し子が花を添える。「やるべきことに集中したい。いいプレーをして、いい顔で投げたいです」。299日ぶりとなる1軍マウンドからの再出発。打がソラーテなら、投は藤浪。遅れてきた救世主が、チーム再浮上のラストピースになる。