元阪神・鎌田実氏 口癖は「シートノックでファンをうならせていたもんや」
阪神OBで名二塁手としてタイガースの一時代を築いた鎌田実さんが1日午前9時30分に兵庫県芦屋市内の病院で亡くなっていたことが2日、分かった。享年80。今年5月に肺がんが見つかり、闘病生活を続けていた。
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阪神時代の華麗なジャンピングスローと、学生たちとの集合写真の構成が最後の年賀状になった。ここ数年、わが家で鎌田さんと年賀状作りをするのが、年末の恒例行事だった。
近鉄のアドバイザー時代からの付き合いだから、もう25年以上になる。偏屈、頑固者-。球界関係者は口をそろえる。しかし、記者には「野球好きは、みんな友達だ」と野球理論を丁寧に語ってくれた。最後に連絡があったのは4月。朝から雨が降り「今日の甲子園はあるかなあ。ナイターがないと退屈」と古巣の戦いを楽しみにしていた。
口癖は「われわれのころは、試合前のシートノックでファンをうならせていたもんや」。往年の名二塁手は、守備について辛口だ。そんな中「肩も強いし、位置取りもいい。守備で金が取れる」と、広島・菊池涼の活躍に目を細めていた。
週末は中学硬式野球、平日も大学野球の指導と野球漬けの毎日。10年ほど前、何度も書き替えながらブログ「鎌田実の野球教室」(https://blog.goo.ne.jp/daily011)を開設したのも、今となってはいい思い出だ。
「年やから、お別れのあいさつに年賀状を出すわ」。昨年末の年賀状作成の際、長嶋茂雄さん、王貞治さん、中西太さんらの住所を聞かれた。死期を悟っていたのか、本当にお別れのあいさつになるとは…。また一緒に年賀状を作りたかった。合掌(デジタル担当ウェブ編集長・岩本 隆)