鳥谷 代打託されるも決められず…3位広島負けで3・5差まま
「阪神0-1中日」(28日、甲子園球場)
ベテランが力なく二ゴロに倒れたシーンがハイライトだった。阪神は今季12度目の完封負けを喫し、中日戦の負け越しが決定。矢野燿大監督(50)は1点を追う七回2死二、三塁の場面で梅野に今季打点ゼロの代打・鳥谷を送ったが、不発に終わった。さらに1番・木浪、2番・近本など打線も組み替えたが、長期ロード明けの甲子園で得点力不足を解消できなかった猛虎打線。逆転CS、ホンマに大丈夫?
27日ぶりの甲子園。待ちに待ったファンが最も盛り上がったのは、あの男がコールされた場面だった。1点ビハインドで迎えた七回。2死二、三塁の絶好機に、矢野監督は迷うことなく代打・鳥谷を送った。
沸き起こる拍手と歓声。鳥谷のヒッティングマーチからチャンステーマへのメドレーでスタンドは大盛り上がりだ。ここで一本出れば、逆転となるだけでなく、残り試合に向けてもチームに勢いが出る最高の場面。だが藤嶋のスプリットを力なくはたいたベテランの打球は二ゴロとなり、スタンドは一斉に悲鳴とため息に取って代わった。
25日の神宮でのヤクルト戦後に発した「最後の打席になるかもしれないから…」という意味深発言以降、一気に去就への注目が集まった生え抜きの存在。「総合的にすべてのことを含んでトリで勝負したいと。それがいいと判断したので勝負した」。だが矢野監督の“勝負手”は結果につながらなかった。
試合後の敗者の通路。背番号1が「ストライクが来たら打っていこうと思ってたんですが…」と声を絞り出す。清水ヘッドコーチも「あそこで(適時打が)出てくれたらベストだったけど…監督も期待して使っているからね」と悔しそうだ。
5勝1敗で終えたロード終盤の勢いを持ち込みたかった一戦。1番に好調・木浪、2番に近本、さらに俊介を今季初スタメンに抜てきと、打線に手を入れて臨んだ。「開幕からやったように、自分が捕手やったらこっちの方が嫌かなと」と説明したが、新オーダーも不発に終わり、今季12度目の完封負けを喫してしまった。
中日に2年連続のシーズン負け越しが決定。3位・広島が敗れたことも含め、逆転CS進出へもったいない0-1での敗戦だ。「やっぱり課題は今シーズン通して点を取るということ。あすは何が何でも点を取りに行って全員で勝ちます」と矢野監督は宣言した。
雨上がりということもあり、秋の気配すら感じさせる風が吹き抜けた甲子園。このままAクラスを逃してしまうのか。残り23試合、後がない戦いが続いていく。