久保コーチとの出会いがメッセの人生変えた 1年目退団危機から98勝へ
阪神は13日、ランディ・メッセンジャー投手(38)が今季限りで現役を引退することを発表した。メッセンジャーが同日、球団に申し入れ、了承された。近日中に引退会見が行われる。2010年の入団から10年間もエースとしてチームを支えてきた右腕。日本通算100勝にあと2勝と迫っていた中、異国から来た“サムライ”は潔くユニホームを脱ぐ決断を下した。
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本来ならメッセンジャーは1年で退団していてもおかしくなかった。期待されたセットアッパーの役割を果たせず、開幕1カ月後の4月末に2軍降格。そんな窮地で先発転向を勧めたのが、久保投手コーチ(現・ソフトバンク2軍投手コーチ)だった。
「可能性があると思ったのは、カーブがあったから。ボールの角度、投げ方、これは行けるって感じでね」。後にメッセンジャーの代名詞となった球種。これが右腕の野球人生を大きく変えた。
自信を持って挑んだ異国の地でメッタ打ちを食らい「“こんなはずじゃなかった”と。失意のどん底だったと思いますよ」。同コーチは当時を振り返りつつ「それでもとにかく負けん気が強かったから。何でも吸収しようという姿勢が、ターニングポイントになった」と言う。来日1年目の屈辱が、日本通算98勝の原点だった。
「正直、ここまでやれるとは思っていなかった。よく頑張ったと思います。ご苦労さまと言ってあげたい」と教え子への思いを吐露した久保コーチ。輝かしい実績は2人の出会いを抜きに語れない。(09~14年、17~18年 デイリースポーツ阪神担当・重松健三)