メッセへの思い 故バッキー氏から幻の100勝祝福メッセージ
阪神・メッセンジャーは日本通算100勝を目前に、現役引退を決断した。記録達成を誰よりも楽しみにしていたのは、阪神唯一の外国人100勝投手、ジーン・バッキー氏だったかもしれない。同氏はメッセンジャーの引退を知ることなく他界した。生前、デイリースポーツに託した幻の100勝祝福メッセージを、特別寄稿として添えたい。
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ランディ、100勝達成おめでとう。
私の記録から50年、十分すぎるほど長く、破られずに来ましたが、ようやく代わる時がやってきたのですね。すべての記録は破られるためにあります。
ランディが投げた試合の結果はいつも日本の友人から報告があり、よく知っていました。好投してもなかなか勝ちがつかない日もあり、私ももどかしい気持ちでいました。今は興奮を隠せません。
私は日本で多くの記録を作ることができました。1964年に29勝を挙げてリーグ優勝をしました。その年には外国人選手初の沢村賞を受賞しました。65年にはノーヒットノーランを達成しました。その中でも100勝は私の野球人生でベストと言ってもいい記録です。
あなたの姿を見ていると当時の自分を思い出します。同じ国で生まれ育ち、マイナーでくすぶり、同じ阪神でプレーし、日本で家族が増えました。私を超えるのはランディであってほしいと思っていました。なぜなら、あなたはこの記録にふさわしい投手だからです。(元阪神タイガース投手)
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バッキー氏が米ルイジアナ州ラファイエットの自宅でデイリースポーツの取材に応じたのは、今年の6月12日だった。この時点でメッセンジャーは98勝。100勝超えを期待して、バッキー氏はコメントをデイリースポーツに託した。メッセンジャーをしても超えられなかった偉大な記録に敬意を込め、バッキー氏の最期の言葉としてデイリースポーツ読者にお届けしたい。