メッセ感謝の涙、悔し涙 10年間の思い詰まった引退会見 29日ラス投へ
阪神のランディ・メッセンジャー投手(38)が18日、西宮市内のホテルで引退会見を行った。今季は開幕投手を務めたが7月に出場選手登録抹消。復活への道を模索し続けたが、1軍の舞台に戻ってくることはなかった。外国人選手としては異例の引退会見で、涙を浮かべて感謝の思いを述べた右腕。引退試合となる29日の中日戦(甲子園)で、最後の勇姿を披露する。
誰にも渡したくなかった場所に、立てなくなる。異国の地で夢を追い求めた10年間で自らの存在価値を証明し続けた甲子園のマウンド。現役引退表明後、メッセンジャーは初めて自らの言葉で思いを述べた。
甲子園のマウンドはどんな場所だったか、と問われると涙腺は決壊した。1分間、言葉に詰まりながら無数のフラッシュ音だけが響いた。「本当に大きな意味を持った場所だった」。何度も何度も目を拭った。
こだわり続けた日本通算100勝まであと2勝。「いつかこの日が来ると分かっていたんですけど本当、想像していた以上につらいというか寂しい。自分の体が悲鳴を上げているというか“潮時”だと言っているので」。
日本通算262試合で98勝84敗。勝敗が付かなかった数字の中で「2つでいいので勝ちに戻ってくれたら…」。喉から手が出るほど渇望した勝利に届かなかったもどかしさを、正直に吐露した。
一番の思い出は巨人に4連勝した14年のCS。「ライバルとしてジャイアンツ相手に好投できた日、特に甲子園でそれができた日は最高の瞬間として覚えています」。タテジマを着て宿敵に勝つ意味を誰よりも分かっていた。それが虎のエースの誇りだと、痛いほど身に染みてきた。
阪神の歴代外国人投手唯一、100勝を達成したジーン・バッキー氏と親交があった。引退を報告できないまま同氏は先日他界。「彼の存在はやっぱり大きい。100勝達成を一番望んでくれていた方」と思いをはせた。近い将来、阪神に貢献することは今は考えられないという。志半ばでユニホームを脱ぐ現実に直面したからこそ、気持ちの整理を優先した。
偉業は後世に語り継がれていく。「皆さんの心に残るような投球をしたい」。9月29日、中日戦。ありったけの思いを白球にぶつける。