現役引退の横田に仲間が惜別コメント 望月は横田の登場曲でマウンドへ
「阪神-DeNA」(22日、甲子園球場)
脳腫瘍からの実戦復帰を目指してきた阪神・横田慎太郎外野手(24)が22日、兵庫・西宮市内で引退会見を開いた。仲間からは続々と惜別のコメントが寄せられ、DeNA戦に先発した望月惇志投手は、横田が登場曲に選んでいた、ゆずの「栄光の架け橋」を流してマウンドに上がった。
試合開始直前。思わぬ曲がグラウンドに響いた。先発投手が初回のマウンドに上がる際、お気に入りの登場曲が流れるのが通例。望月は今季、ベリーグッドマンの「ライオン」を登場曲にしていたが、流れたのは、ゆずの「栄光の架け橋」だった。長く2軍で共に暮らし、腰を手術した際には、リハビリの時間を共有した間柄。思いを曲に込め、初回のマウンドを無失点で抑えた。
また、試合前には多くの選手が別れを惜しんだ。同郷の鹿児島出身の先輩でもある福留は、いつもより熱っぽく語り掛けた。「誰がどうというよりも、本人、家族が一番つらかったでしょうから」。胸中をおもんぱかりながら、「もう一度、グラウンドで暴れ回る横田の姿を、見たいという思いが強かった」と残念がった。
2016年の開幕戦、1、2番として開幕スタメンに名を連ねた高山は、会見での花束贈呈にサプライズ登場した。思い出は数、限りない。「寮にいる2年間、よく部屋を荒らしに行った」と笑いながら、横田を象徴するエピソードとして、同戦の開始直前の行動を挙げた。
「あいつらしいと思ったのは、試合前にスタンドに投げ入れるサインボールを、キャッチボールで投げてきた。『これ、お前のボールだぞ』って。それぐらい緊張していたのが、横田らしいですね」
今後について、現時点では未定。それでも福留が「かわいい後輩に変わりはない。手助けできることがあれば、なんでもしてあげたい」と約束する、高山も言った。「僕との仲は変わらない。プライベートは今まで通り、仲良くしていきたいです」。温かいエールと別れを惜しむ言葉が、歩んできた6年間を象徴していた。