鳥谷さんの言葉全部が宝物です 上本から偉大な先輩へ感謝の言葉
今季限りでの阪神退団が決まっている鳥谷敬内野手(38)へ、先輩、後輩、恩師らからエールが寄せられた。新天地での現役続行を目指す鳥谷の“真の姿”を知る人たちが、激励の言葉を贈る。早大の後輩で、阪神では二遊間も組んだ上本博紀内野手(33)が、叱咤(しった)激励してくれた偉大な先輩へ、感謝の気持ちを明かした。
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不安になると、すぐに鳥谷さんを目で追いました。グラウンドでは孤独を感じることもあります。それでも隣を見ればショートに鳥谷さんがいて…それだけで安心できたんですよね。これまで言ってもらった言葉は、数え切れないくらいたくさんあって…どれが一番なんてない。全部が思い出で、宝物です。
2014年に初の開幕1軍。飛躍の1年は、自分が鳥谷さんと一緒にいられた時間でした。あのとき初めて二遊間を組ませてもらったんです。でも自分はまだ出始めの頃。できないことばかりで、終わってみたら二塁手として、リーグワーストの17失策とふがいない結果に。そんな自分のミスを、いつもカバーしてくれたのがトリさんでした。
心に残っている出来事があるんです。守備練習だけでもしっかり…と思っていた矢先のことでした。イレギュラーしたバウンドが跳ね返ってきて、右手親指の爪がはがれてしまって…。残った爪は半分くらい。もう痛いし、これじゃ試合に出られない、無理だって。でもあのとき、トリさんが歩み寄ってきて、こう言ったんです。
「それくらいなら試合に出られるだろ、試合に出ろ」
そう言われたときは「え、ほんとに!?」って。「マジですか」って。でも今になって、そのときの意味がよく分かるんです。あの年は右手親指末節骨を骨折して、春先にも離脱。復帰した後でしたから。爪がはがれたって騒いで、もしまた離脱していたら、自分にはもうチャンスは来なかったかもしれません。あのとき「出ろ」って言ってもらって、本当に鳥谷さんに生かされて、自分はここまで来られたと思っています。
今年の2月。トリさんが、掛布さんに伝えたという思い。「今年は上本と二人で、二遊間組みます」-。それを伝え聞いたときは、ものすごくうれしかった。鳥谷さんの目標に自分も入っているんだって。なのに自分は1軍にいられなかった。本当に情けなくて、申し訳なくて。尊敬とかそんな言葉では終わらせられない、絶対に終わらせたくないです。