中谷 先制V撃!夢つないだ 奇跡6連勝CSへトライ
「DeNA0-7阪神」(28日、横浜スタジアム)
一つずつ、丁寧に。奇跡のかけらを集めていく。阪神の中谷が決勝打を放つ好打に、先制点を阻止する美技にと大活躍。さぁ本拠地に帰って、あと2勝だ。みんなで戻ろう、横浜へ。気持ちのこもったプレーが、笑顔を呼んだ。
快音で応えた。0-0で迎えた四回。2四球と内野安打…仲間がつないで、つないだ1死満塁の場面で打席へと向かった。相手先発・今永を見やると、バットを強く握った。「なんとか前に飛ばせるように」。その4球目だった。外寄りの直球に反応すると、打球は大歓声を切り裂き、左前へ。値千金の先制2点適時打になった。
先制点を奪っただけではない。守備でも魅せた。初回2死一、二塁のピンチでロペスの打球が右中間を襲った。フェンスがギリギリまで迫る。だが、腕を伸ばしながらジャンプ。白球に食らいついた。「負けられない試合で使ってもらったので」。先制を阻止する好捕。感謝は力に変わった。
力をもらえたような気がしていた。26日は横田の引退試合。その際に球団から受けた提案に、即答だったと笑った。「騎馬隊をやってくれないか」、「俺やります」。仲間みんなで駆けつけた、大切な後輩の“復帰”戦。その懸命に闘い抜いた姿に、優しい涙が最後まで中谷の頬を伝った。「野球ができることに感謝して、横田の分も頑張ります」。ベンチスタートのときは配球面を勉強。欠かさなかった準備が、この日の一打につながった。
必ず戻ってくる。宣戦布告の一打となった。「勝ったらここ(横浜スタジアム)に戻ってくる。そこで今日勝てたのはよかったし、自分も打ててよかった」。逆転CSへ。足りないピースは、残り2つとなった。仲間と一緒に。奇跡のパズルを完成させる。