メッセンジャー 涙の引退あいさつ「タイガースファンがイチバンデス」

引退セレモニーでプロ生活を支えてくれたベネッサ夫人とキスをするメッセンジャー=甲子園
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 「阪神-中日」(29日、甲子園球場)

 阪神が中日戦の試合後、今季限りで引退を表明したランディ・メッセンジャー投手の引退セレモニーを開催した。外国人選手の引退セレモニーは極めて異例。涙のフィナーレとなった。左翼スタンドの中日ファンも含めて、4万6695人の観客がほとんど席を立つ姿なく、10年、エースとして戦った右腕の節目に花を添えた。

 セレモニーではまず、センターのビジョンで、過去の活躍映像が流れた。「ピッチャー・メッセンジャー、背番号54」のアナウンスが流れ、小走りでマウンドの少し前に立ち、あいさつが始まった。「アリガト、アリガト」。まずは日本語で口を開くと、その後は何度も感謝を口にした。

 「日本にいる間、ずっとタイガースにいるチャンスを与えてくださったチームに感謝したい。私の野球人としてのキャリアに携わってくださった人々、みなさんに感謝したいと思います」

 時折、言葉に詰まりながら、涙するベネッサ夫人にも感謝。「世界中のタイガースファンの皆さま、自分が好投している時も、そうでない時も多大なるご声援、本当にありがとうございます。みなさんの情熱は本当に素晴らしかったです。日本での10年間、本当に素晴らしく、一生忘れることはありません。タイガースファンがイチバンデス。アリガトウ、ホントにアリガト。みなさん、またお会いする日まで、さようなら」。天を仰ぎ、こぼれそうになる涙をこらえながら、球場全体に何度も何度も頭を下げた。

 あいさつ後は、梅野、原口、坂本と、何度も意見をぶつけ合った捕手3人から、花束を渡されて抱擁を交わした。さらにマウンドでは選手、コーチ、スタッフらから7度、胴上げされて宙を舞った。

 セレモニーの前には、投球で貫禄を見せた。現役最後の先発マウンドに上がると先頭・大島との対戦。初球、147キロの直球がワンバウンドしてボールになった。2球目も外れたが3球目は143キロ真っすぐで空振り。その後フルカウントになり、6球目。高め146キロのストレートに大島のバットが空を切り、空振り三振に仕留めたところでマウンドを降りた。

 内野手全員が右腕に駆け寄り、ベンチからは矢野監督も就任後初めてマウンドへと向かってメッセンジャーをねぎらった。帽子を取って満員のスタンドのファンに頭を下げ、チームメートの鳥谷から花束を受け取ると、本拠地・甲子園は温かい拍手に包まれた。

 試合前にはサプライズもあった。練習が行われる前の午前10時頃。選手会長の梅野隆太郎捕手と、主将・糸原健斗内野手が「みんなで着よう」と発案し、選手たちは右腕の来日10年目を記念に作られた「I’m Finally 日本人」とプリントされた「メッセンジャー選手 日本人扱い記念Tシャツ」を着用してグラウンドに入った。

 選手、トレーナー、球団広報までが“メッセTシャツ”を身にまとい、センターバックスクリーン付近でメッセンジャー本人と記念撮影。温かい仲間たちのサプライズに本人は大喜びだった。

 日本通算98勝で100勝にあと2勝に迫っていた中での引退。長らく虎のエースとして君臨し続けた男は、全球ストレートで最後までファンを魅了した。

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