鳥谷で終戦 さらば不死鳥…タテジマ最後は二ゴロ 16年間の感謝の思い
「セCSファイナルS・第4戦、巨人4-1阪神」(13日、東京ドーム)
阪神はファイナルSで巨人に敗れ、2019年の戦いが終わった。今季限りで阪神を退団する鳥谷敬内野手(38)が、九回2死から代打で登場し、タテジマ最後の打席は二ゴロに終わった。すでに現役続行を表明しており、今後は移籍先を探すことになる背番号1。04年の入団以来、虎の内野陣を支えてきた男の勇姿は絶対に、忘れない。
ありがとう、いつまでも忘れない。地鳴りのような声援、奏でられた応援歌。タテジマを着た鳥谷が、最後の打席へと向かう。「16年間あっという間で。いろいろな人の支えがあって今日までこれました」。仲間と歩んだ16年。ひとりじゃなかった。いつだってみんながいた。
“トリさんと一日でも長く野球がしたい”
それが奇跡の道を歩んだチームの合言葉だった。本来は9月30日が最終戦。逆転CSへ、可能性は1%だっただろうか。それでも終わらなかった、終わらせなかった。「2週間も長くタイガースのユニホームを着させてもらった。ありがたいです」と仲間へ感謝の思いを口にする。
九回2死。背番号「1」が打席へと、一歩を踏み出す。球場全体を包んだ温かい拍手。阪神・鳥谷としてのラストステージだ。鋭いスイングを見せる度に、敵地は沸く。最後は159キロの直球を二ゴロ。「16年間、この球団で自分っていうものを作ってきた」。全力で駆け抜けた。
9月30日のレギュラーシーズン最終戦。実は先発メンバーの中に「鳥谷敬」の名前が刻まれていたという。矢野監督の思い、鳥谷の思い。監督室で二人、指揮官と“本音”を語り合った。チームは逆転CSのかかる大事な一戦。「若い選手を使ってください」。鳥谷はベンチスタートを直訴した。チームを思い、後輩を思う姿は最後まで変わらなかった。
先発機会が減り、出場機会も減っていった。それでも前を向き続けられたのには理由があった。最近は読書を趣味にし、多くの本を手に取ってきた。その中には、ひすいこたろう著の「あした死ぬかもよ?」という一冊があった。限られた時間の中で、後悔のないように-。いつだって必死に自分自身と向き合ってきた。
「これまでやってきたことを信じて、新しい野球人生に向けて頑張りたいです」
色紙にはいつも同じ言葉を添える。「向上心」。はい上がり、挑み続けてきた16年だった。「ずっと試合に出られたことが幸せなことなんだってね。どうしようもない悔しさを知って、初めてプロ野球選手になれた気がするよ」。最後まで仲間と一緒に。ただそれだけで、鳥谷は幸せだった。
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