西、先発リーダーになる「先陣切ってアドバイスを」 9月4戦4勝で月間MVP
セ、パ両リーグは15日、9月の「大樹生命月間MVP賞」を発表し、阪神・西勇輝投手(28)がセ・リーグで初受賞した。西の受賞はオリックス時代の14年3・4月以来、5年ぶり2度目となる。西は受賞を喜ぶと同時に来季に向け、先発陣のリーダーとなることを宣言。今季チーム唯一の2桁勝利を挙げた男が、猛虎の先発投手陣をけん引していく。
思い描いた幕切れではなかった。だからこそ、悔しさを糧にしながら西は強い決意を口にした。「先発だと自分が中心となって、先陣を切ってみんなにアドバイスできるように」。今季、チーム最多の10勝を挙げた男は来季の逆襲に向け、自覚をにじませた。
苦い思いは決して忘れない。13日のCSファイナルS第4戦に先発した西は6回2失点。懸命にチームを鼓舞したが、宿敵の前に屈した。しかし「ファイナルまで来られて、若手はすごくいい経験になったと思う」と西は前を向く。短期決戦でしか得られない収穫がある。それを後輩たちが手にしたことをプラスに捉えた。
その短期決戦に猛虎を導いた立役者が、背番号16だった。9月21日・広島戦で8回2失点の力投。試合は八回、北條が勝ち越し2ランを放って右腕が9勝目を挙げた。「北條の2ランで勝ちが舞い込んできたのは大きいと思っています」。9月は4試合で4勝負けなし。“奇跡の6連勝”の中でも2勝を挙げ、重圧の大きいマウンドで期待に応えた。
その結果「いいピッチャーがたくさんいるので、もう取れないと思っていた」という月間MVPを受賞。「攻撃面でバッターの方が打ってくれて、すごく助かった試合ばかり。あとはキャッチャーの梅野が、いいリードをしてくれて最少失点で粘ることができた」と女房役をねぎらうことも忘れなかった。
虎のFA投手としては史上初のシーズン10勝。青柳や高橋遥ら若手先発陣には積極的に助言を送り、チーム全体に目を配った。大量失点を喫した高橋遥には、登板翌日に言葉を交わした日もあった。来季は今季以上に、グラウンド内外で後輩たちへ献身的なサポートを施していく。
自身がこだわる投球回も、今季はキャリアハイの172回と1/3。「来シーズン、もっとイニングを稼げるように、どんどん投げていきたい」。この日の勲章と今季最後に味わった苦渋を胸に、先発のリーダーとして西が虎を押し上げる。